ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。



特定非営利活動法人グッドハート


 不登校、引きこもり、ニートなどさまざまな悩みに応える特定非営利活動法人グッドハートは、草津市に本拠を置いて、滋賀県内など各地で活動している。心理学教室での個人カウンセリングとさまざまな野外活動などを組み合わせ、「早期解決が第一」をモットーにして、着実な成果を上げている。同時に教室の卒業生たちがサポーターとして協力し、グループ作業を通じた親密な交流により、社会的マナー習得など自立へ支援している。

早期回復へ順調な成果
心理学教室、農漁業体験も


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サポーターやボランティアらとともに農場で作業するクライアントたち
 7年前、法人の理事長、加藤日典子(ひでこ)さんが、自分の子どもが引きこもりになったことをきっかけにして、同じような悩みを持つ人たちと一緒に活動しようと呼びかけた。親たちのほか、ボランティア仲間や、教諭、友人などが集まり、「不登校・引きこもりサポートの会」を設立。その後、現在の名称に改め、4年前に特定非営利活動法人の認証を取得。その間、全国引きこもりKHJ親の会連合会(本部・埼玉)にも入会した。

 心理学教室を担当する加藤さんは、応用心理士の資格を持ち、カウンセリング歴の長いベテラン。期間は2年間をめどにしているが、心理相談と合わせた野外活動の併用による回復の状況に沿って、早めに切り上げることがしばしばという。「来所当初には、的確に返事もできないくらいの人でも、2、3カ月で回復効果が出始める例も出てきています。人生の生き方、考え方を見直し、多くの知識や技術の習得とともに、一人ひとりに見合った対処法を学んでもらっています」と説明する。

 野外活動のために守山市内に畑10アールを借用し、野菜などを栽培。また加藤さんの夫、敏夫さんが長野県に所有する農場での稲作など合宿の機会まで設営している。教室に通うクライアントたちは、月2回作業に加わり、多くの家族や、サポーター、ボランティアなどとのコミニュケーションを計っている。このほか餅つき、陶芸、グラウンドゴルフ、焼肉パーティー、食事会など多彩なグループ活動で随時、交流を深めている。

 一方、加藤さんは県内から近畿、北陸などへ講演や相談に出かけている。これまでの実践や体験した事例を報告し、研究結果を発表している。

 昨年の実績としては就労2人、就労後大学進学1人、自立3人、と計7人の卒業者を出したという。

 同会の特徴は、この教室卒業者たちが、就職や進学、結婚など社会復帰したあと、可能な人たちがサポーターとして戻ってきて、協力していることという。さまざまな催し、グループ活動を一緒に行うなかで、身近な相談や話し相手となり、親身な交流が生まれるという。

 「こちらの早期回復プログラム、自然環境での農漁業体験、それに応用心理学のサポートがうまくかみ合って、順調な成果を引き出してきているのだと思います」と、加藤さんは、グッドハートの特性を説明している。

<メモ>特定非営利活動法人グッドハート
草津市大路1―4 大丸ソイビル202号室 携帯電話 080 (3777) 2360