ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。



京都社会福祉士会


 福祉社会が次第に充実していく中、この分野での初の国家資格、「社会福祉士」が発足から20年を超えた。名称はすっかりなじまれ、また、各地の福祉関係機関や施設などで働く人が多くなっている。京都での社会福祉士の現状を、社団法人京都社会福祉士会に改めて、うかがってみた。

地域サポートの道めざし
相談や講座など幅広い活動


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地域や職場を超えて交流する青年部の定例会
 社会福祉士は、心身の障害により日常生活に支障がある人の相談に応じ、また福祉サービス事業者や医師、保健医療サービス提供者などとの連絡、調整や援助を行うとされている。この資格は業務を独占できるわけではなく、「名称資格」に留まっている。毎年1回、国家試験が行われている。昨年3月の合格者は京都府311人、滋賀139人(厚生労働省)。第1回(1989年)の受験者数1033人、合格者180人から、昨年の第22回の受験者4万3631人、合格者1万1989人へと着実に増加している。

 京都社会福祉士会は93年、日本社会福祉士会の京都支部として発足。07年、社団法人になった。加盟会員は748人(2月8日現在)、組織率は約22パーセントと少なめ。

 「京都は大学などに福祉系コースが多く、資格試験を受ける人が比較的多いといえます。しかし、資格を取られても就職や仕事に生かさないままの人も、かなりあります。会員の方々は、福祉機関や団体、介護などの施設や学校、大学などで働いています。半面、近年は、一人で事務所を開き、地域のさまざまな仕事を引き受けるという例も増えてきています」と同福祉士会のちきり憲之事務局長は、説明する。同福祉士会は福祉についての相談、研修をはじめ、成年後見などの活動を通じて、福祉サービスの利用者とともに地域住民すべての生活を支援するとしている。また行政や福祉機関、団体との連携、協働により社会活動へ参画し、さらに研修などにより会員のスキルアップを図るとしている。

 実際には「福祉なんでも相談」を京都市内と府南部で、各月1回、開催するのをはじめ成年後見制度についての受任(年間300件以上)や相談、講座の開催などを行っている。ついで介護・福祉サービスの第三者評価を実施したり、介護保険認定審査会の委員の推薦や、福祉について研修会の開催や講師派遣なども手がけている。さらに、このほど府が始めた「まなびアドバイザー」へ社会福祉士14人を推薦した。

 「福祉士会では多くの人が知り合い、情報の交換とともに横のつながりができます。地域や職場を超えてフィードバックができるので、若い世代の入会を勧めています。お互いに刺激し合うなかから、地域福祉をサポートしていく道が見えてくれば」と、同事務局長は期待している。

 また、今年6月4、5日に、第19回日本社会福祉士会全国大会・同学会が、初めて京都市のみやこめっせで開催予定で、受け入れ準備が進んでいる。

<メモ>京都社会福祉士会
京都市上京区猪熊通丸太町下ル 京都社会福祉会館内 TEL 075(803)1574