ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。



水度坂友愛ホーム


 「温かい心、優しい手、そして笑顔を」―。京都府南部、城陽市の特定非営利活動法人、水度坂友愛ホームは、そんなモットーで、市内2カ所のケアセンターを運営している。高齢者福祉に関心を寄せる女性たちが、わずか3、4人で、自宅を利用して開いた宅老所からスタート。11年後の今では、デイサービス、グループホーム、居宅介護支援事業、それに小規模多機能型居宅介護事業まで備える地域のケアセンターへ発展した。

きずな重視、支え合う場に
周囲の要望に応えて発展


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デイサービスとグループホームの利用者が合同で楽しむ友愛ホームのクリスマス会
 「高齢社会を迎えて、地元の城陽で、認知症に悩む人ができるだけ少なくなるように努力しよう」と、40年間、看護師を勤めていた梅田史世(ふみよ)さん(68)=現理事長=は、友人ら数人とともに高齢者福祉の世界へ転身した。「自宅の1階を利用して、宅老所を設けたんです。すぐに定員いっぱいになり、次に必要なのは居宅介護支援、その次はグループホーム、と周りの人たちの要望を聞きながら、やってきただけなんです」と屈託なく、振り返る。

 水度坂(みとざか)の自宅では手狭になって、3年後、青谷ケアセンターに移転し、デイサービス(定員20人)、グループホーム(同9人)と、居宅介護支援事業をまとめた。さらに8年後、少子化とともに廃園となった幼稚園跡を再利用して寺田ケアセンターを増設。小規模多機能型居宅介護支援事業(定員25人)を新たに設、グループホーム(同9人)とデイサービス(同12人)まで完備するに至った。

 この間、7年前に認知症予防教室「うたのゆりかご」を青谷で始め、月1回開いている。音楽療法により、歌を歌って身体とともに心と脳を活性化させる。予防運動を継続。また寺田でも「物忘れ予防教室」を毎週火曜、金曜の2回開き、各種ゲームなど工夫している。

 グループホームは、世間から閉鎖されないよう、家族面会の奨励など、きずなのつながる環境を大事にしている。

 急成長とともに両センターで働く職員(常勤・非常勤)は75人、ボランティア約50人にまでふくれあがった。「友愛ホームは看護職員が多く、介護職員と連携することにより質の高いサービスが提供できます。その上、夜勤2人体制を組むなど、安心できるサービスを目指しています」と、木原由佳里事務長は特色を説明する。

 また法人設立メンバーの一人で、調理管理者の鈴木利恵さんは「地域の人から無償提供された畑で野菜を栽培しています。この野菜をたくさん使った家庭的な料理を心がけ、みなさまに喜ばれています」と、地域のバックアップも見逃せない。

 ボランティアもまた近隣地域から参加する人が主で、それぞれ得意な車の運転や清掃など分担し、友愛ホームの日常を盛り上げている。

 「高齢者や障害者が住み慣れた地域で、お互いに支え合い、生き生きと暮らしていける場とともに、喜ばれる質の良いケアを、明るく楽しく提供していきたいです」と梅田さんは初心を確かめている。

<メモ>水度坂友愛ホーム
城陽市寺田乾出北45 TEL 0774(56)1950