京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●コラム「暖流」
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。 老けるってね 総合人間研究所所長
早川一光
老(お)いと、老(ふ)けとはちがいます。
「先生! どうちがうんです?」 「老いは正常ー、老けは…年不相応に老いてみえる時…、やはり異常ー や」 「なぁるほど!老いはみんな必ず来る道ー、それじゃ老けは?」 「吹(ふ)ケバ飛ブヨナ ショーギノコマニ カケタ命ヲ 笑ワバ笑エ…」 「センセ! 歌でごまかさないで。まじめに聞いてんのです!」 「ま、ま、怒らんと静かに聞けよ。ふけってナ、『この間、京都新聞を読みフケってたら、一駅乗り越したー』」 「それは“老け”でのうて“耽(ふ)け”!」 「この間、さつまいもがようフケて」 「それは“蒸(ふ)け”!」 「この間、友だちと飲んでたら、夜もフケてな」 「それは“更(ふ)け”!」 「そんだけよう知ってたら、人にものを聞くなー」 要するに 老けるって、生きる活力を失って、身も心もくずれた時…。 人間ってナ、生まれたらいろんな病を乗りこえて、ハッと気がついたら老いていく、この長い人生の廊下を歩いてゆかねばならんのじゃー。 必ず渡る老化ー廊下ーだから、何もあわてる必要はない、ゆっくり、ゆっくり、一歩一歩気をつけて、こけんように歩くこと。 この廊下は、時によって、また、所によって上り下りがあり、ちょっとした段差もある。 つまづかないよう、落ちこまないよう ・自分の身体は自分で守る ・自分たちのくらしは自分たちで守る んだと、みんなでこの廊下を渡ることー。しっかりと前をみつめて、すぎたあとを振りかえらないことー。 お分かりかな?ー。 はやかわ かずてる氏 1924年愛知県生まれ。 京都府立医科大卒業。50年、西陣に住民出資の診療所創設。その後、堀川病院に発展し、院長、理事長を歴任。南丹市美山町の診療所長も務めた。著書に「わらじ医者京日記」など。
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