ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

つどい400

立命館大名誉教授
芝田徳造

 さる4月中旬、京都府立体育館で「つどい400」という記念イベントが行われました。今回は記念事業ということで、北海道からの特別参加もありました。
 この「つどい」は同体育館と京都障害者スポーツ振興会が行う障害のある人々のためのスポーツ行事で、1972年3月から35年間、毎月1回開かれてきたものが、ついに400回に達したのです。  障害のある人々の行事でこれほどの長期間の継続開催は、全国どこにも例のないもので、初回からの参加者はのべ44000人にもおよんでいます。
 毎回、体育館は広大な第一競技場と館所有の全器具を無償で提供し、のべ1万人を超えるボランティアと体育館職員が、燃えるような熱意と汗で開催してきたものです。
 また、この「つどい」は、長年にわたり多くの障害のある人々や家族を励まし続けてきました。参加者の中には「ここへ来るとホッとする」「ここが私たち親子の元気の源」「ここで子どもの可能性が見つけられた」などの感想を寄せる人も少なくありません。
 この事業を障害者施設ではなく一般の公共体育館で行う理由は、一般市民と障害のある人々が同じ場所でスポーツをすることにより、相互の理解と「共に生きる京都」の推進にも役立つと考えられるからです。  この「つどい」が、今後も続けられるかどうかについては、少し不安もあります。それは公共施設の運営が、政府の進める構造改革によって、民間委託も可能とされそうだからです。
 その場合、現在のように開催できるかは疑問です。しかし、障害のある人々や家族に自信と勇気を与え続けてきたこの催しは、今後もぜひ残したいものです。


 しばた とくぞう氏 1926年京都府生まれ。立命館大法学部卒業。立命館大教授、京都障害者スポーツ振興会会長などを歴任。現在、立命館大名誉教授、日本身体障害者陸上競技連盟会長。著書に「スポーツは生きる力」ほか。