ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

静かなる祈り

PHP総合研究所社長
江口克彦
  このところ京都ノートルダム女学院の会合に出かけることが多くなった。建学の精神がカトリックだからか、それなりに穏やかで、柔らかな雰囲気がある。どの生徒たちも明るく、目が輝いている。この学校には光輝く雰囲気があるように感ずる。
 ところで、私が時折出席する会合だが、会合の始まる前にかならずお祈りをする。一人のシスターがその会合がどのような思いで進められるべきか、話し合われるべきか、神の思いなどつぶやき語りかけるように話をするのを、出席者たちは手を組んでじっと聞き入るのである。
 たとえば、「主よ、何が大切かを考えて、適正でないものをとりのける精神をお与えください。障害物に立ち向かうときに、平静さを保つことを教えてください。・・・あなたと共に私たちがあらゆることを愛せますように」。そして最後は全員で「アーメン」と呟いて祈りは終わる。
 私はこの「静かなる祈り」が大変気に入った。気に入ったなどというのは不謹慎かもしれないが、神という絶対的な存在の前で謙虚に誠実に自分を見つめなければならないと思う私自身に気がついて、なにかこころ落ち着き穏やかになる。このようなシスターの方々の指導、また先生方の指導が、生徒たちに優しさと気品さを身につけさせていくのだろう。
 私はノートルダム女学院での「静かなる祈り」をともにしながら、この学校は神を尊びながら、神を信じながら、しっかりと自分の足で歩かなければならないと神に祈り、誓いを生徒たちに教えていると感じた。
 私はこのノートルダム女学院の「静かなる祈り」の場だけでなく、その時々、その折々に、この「静かなる祈り」を心がけたいと思う。


えぐち かつひこ氏 1940年名古屋市生まれ。
慶応義塾大法学部卒業。松下電器産業入社後、PHP総合研究所秘書室長、副社長などを経て2004年同研究所社長に就任。
著書に「心はいつもここにある―松下幸之助隋聞録」ほか。