京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●コラム「暖流」
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。 子どもってね 総合人間研究所所長
早川一光
自分であって自分でないもの―それが自分の子なんだ。
「お分かりか?」「分かりません!」 「それじゃ、あんたの子、どうして出来たん?」「どうしてって、今さら、分かり切ってますがな」「どうしたん?」そりゃ…、その…」「その、何だ?」「言わすのか!?」…ま、 分かってたら言わんでええ。 子供って、自分ひとりで出来へん! つれあいがいないとアカン!! 絆(きずな)がいるけどな、絆が出来る前にどうしても必要なものがある。 それは“縁”じゃ。 「縁って何どす?」「巡りじゃ」 「巡りって何や?」「あんた、シツコイなあ。巡りって出あいや、巡りあいじゃ」「あヽ、分かった。縁って、出あいがしら(の出来事)かァー」 そうや、“つれあい”ってもともと、出あいがしら―交通事故みたいなもんさ。 それがまた、なあー、己の半分とつれあいの半分が、あんな暗い闇の中でバッタリ出あって…。 あの顕微鏡でないと目に見えんような卵が、たった十月十日で、スイカのような大きなものに育って…。 「先生! 一体わてらに何が言いたいんどす? むつかしーい話をして!」 「何がって、何もむつかしいコトではない」 子供ってな、己であって己でないもの―。だからさ、子供に向かって“ナンジャァ! 遊んでバカリイテッ―、チョットは勉強セイッ”って言いかけた時、“あ、自分も子供の時、全く同じやった。自分の半分に自分が言い聞かせてるんや”と思え、ということ―。 それが言いたかったんや…。 はやかわ かずてる氏 1924年愛知県生まれ。 京都府立医科大卒業。50年、西陣に住民出資の診療所創設。その後、堀川病院に発展し、院長、理事長を歴任。南丹市美山町の診療所長も務めた。著書に「わらじ医者京日記」など。
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