ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

童謡の不思議


PHP総合研究所社長
江口克彦
 子供のころ、母親や周囲からいろいろな童謡を教えられた。そのときは聞き覚えと言うことで、その童謡の意味もわからない。しかし、高校生ごろになって、なんだ、これ? と考え、あるいはこれはなにを意味しているのだろうと、いまも不思議に思っている童謡が多い。

 烏(からす) なぜ啼(な)くの/烏は山に 可愛(かわい)い7つの子があるからよ という、この7つは7羽を意味しているのか、7歳を意味しているのか。最近ある本を読んでいたら、このことが書かれてあり、多くの人の間で論争になっているという。さもあらんと思うが、作者の野口雨情の、この詩を書いた前後からすると、どうも烏の巣の傍に丸い目をした可愛い7歳の人間(京ちゃんという)の子供が遊んでいるということらしい。

 童謡は、よく考えてみると、わけが分からないのが結構あるように思う。

 白やぎさんからお手紙 着いた/黒やぎさんた ら読まずに食べた/仕 方がないのでお手紙書 いた/さっきの手紙の ご用事なあに/

 どうして黒やぎは読んでから食べなかったのか、よほど空腹だったのか。馬鹿じゃないのか、などと目くじら立てて怒ることもあるまい。まだまだ童謡で摩訶(まか)不思議な歌は多い。つぎのわらべうたは、これも結構論争されているようであるが、なんとしても私にはよく理解できない。

 籠目(かごめ) 篭目 /籠の中の鳥は いつ いつ出やる/夜明けの晩に 鶴と亀がすうべった/うしろの正面だあれ 

多忙でそんなことなど考えておれん、あほらしい、と思われるかもしれないが、忙中閑、考えてみるのも楽しいかもしれない。もし、この童謡の解釈をご存じの方がおいでになったら、お教えいただきたい。


えぐち かつひこ氏 1940年名古屋市生まれ。
慶応義塾大法学部卒業。松下電器産業入社後、PHP総合研究所秘書室長、副社長などを経て2004年同研究所社長に就任。
著書に「心はいつもここにある―松下幸之助隋聞録」ほか。