ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

女ともだち

コラムニスト 木下明美
 言語心理学者のデボラ・タネンによれば、「女は和合を求めてものを言う。男は位取りでものを言う」と。つまり、女性は、わかる、わかる! そうよ、そうよ!との和合のためにしゃべる。ところが、男性は、上か、下か! 力関係にとらわれやすい。世の夫族が妻に対して上からものを言うのもそのセイでしょうか?

 夫の「在宅」にストレスを感じている妻が実に多いようです。夫が定年を迎えて家にいると、何か息苦しいし、イライラする。3度の食事の支度で自分の行動も制限される。経済的には家族を支えてくれたかもしれないけれど、子どもが大変なときに相談にものってくれなかった。こちらは仕事で忙しい!で終わり、会話にもならなかった。でも、言わなきゃわからない! それよりも何よりも妻という人間を、ちゃんと理解しようとしなかった夫の無理解に腹が立つ。離婚には至らないまでも、夫婦間の会話はかなり寒々しいのではないでしょうか?

 ところが女ともだちとのおしゃべり=ガールズトークは年齢に関係なく実に楽しい。加齢とともに女ともだちの大切さと心地よさがわかってきます。いつも相手が自分と一緒になって考えてくれていることが分かり合えるからではないでしょうか?

 私には4人組の若草物語姉妹がいます。時には仕事のパートナーとして、時にはよき女ともだちとして「姉妹」の契りを結んだ京都・大阪・神戸・彦根の三都+1の生活スタイルもまったく違えば、年齢もちょうど5歳ずつ離れた4姉妹。ゆるやかで心地いい関係なのです。他にも共白髪までと契り合った三人組の女ともだちが数組! そんな彼女たちといい歳を重ねてゆきたいものです。60を過ぎて盛り上がる女の人生、60を過ぎて盛り下がる…の人生とかや!?



きのした あけみ氏 1946年京都府生まれ。大阪女子大国文学科卒業。本の情報誌「ウイメンズブックス」初代編集長を経て、現在はコラムニスト・ジャーナリストとして活躍中。著書に「女の言葉が男を変える」など。