ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

振興会の35年

立命館大名誉教授
芝田徳造

 去る11月19日、京都障害者スポーツ振興会の創立35周年記念式典が行われました。同会は昭和46年秋、京都府立体育館のしゅん工と共に、障害者団体・盲聾(ろう)養護学校・障害児親の会などで設立されたものです。

 そして同会が最初に実施したのが、設立の翌年から府立体育館との共催で毎月1回開催し、現在まで続く「障害者スポーツのつどい」です。さらに昭和57年からは、府立伏見港体育館プールで「障害者水泳のつどい」を、また毎年冬にはそり遊びを重視する「雪遊びのつどい」や障害のある人々に夢と希望をあたえる「障害者シンクロ」などを開催しています。

 これらは、いずれも会が発足以来、最も大切にしてきた「スポーツの輪を広げる活動」(スポーツの光を一人でも多くの障害のある人々にあてる活動)です。

 もう一方では、「スポーツの高度化を目指す活動」も軽視はしていません。これは競技を通じて自らの可能性を最大限に追求してもらおうというもので、全京都障害者総合スポーツ大会(卓球バレー・卓球・陸上・水泳・アーチェリー)の開催、全国障害者スポーツ大会派遣選手の指導・視覚障害者京都マラソン大会の支援・全国車いす駅伝の開催などがなされています。

 また昭和63年の「全国身障者スポーツ京都大会」では、「開閉会式でのいすの提供」「障害児者によるマスゲーム」など、わが国初の取り組みもされました。このように振興会の活動は、わが国屈指といえます。

 この35年間の活動は、会を必死に支えたスタッフと延べ40万人を超えるボランティアが、燃えるような熱意と汗で推進したものです。今後この状況がさらに発展し、障害のある人々のスポーツと共に、「京都の福祉」の前進にも大きく寄与することが期待されます。BR>

 しばた とくぞう氏 1926年京都府生まれ。立命館大法学部卒業。立命館大教授、京都障害者スポーツ振興会会長などを歴任。現在、立命館大名誉教授、日本身体障害者陸上競技連盟会長。著書に「スポーツは生きる力」ほか。