京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●コラム「暖流」
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。 老いってね 総合人間研究所所長
早川一光
老いって“年をとる”ということ―。
とる、ということは、加え算です。取り去るわけにはいきません。 明らかに“引き算”ではありませんね。 お母さんから生まれたものは、みーんな、ぜーんぶ、もれなく年をとります。 みんなが行く道、通る道であれば、それは当たり前の道―正常―なんです。 老いない人の方が、異常です。 だから、安心して老いて下さい。胸を張ってね。 そうそう、思い出しました―。 老いという字は、あなたの“姿勢”をあらわしています。 若い時は、ソラ、こんなにシャンと首筋を伸ばし、あごをひいて、背すじを張って、ひざをしめて…。 それがね、いつの間にか、コウ 背が曲がり、ひざがゆるみ さらに髪の毛はのび乱れ さらに、つえをつき とうとう老となります。 老いという字は、人の姿を表しています。ついで勢いを失っていきます。 みんなが生まれた時から“老い”がうしろからついてきます。まだ遠い間をおいて―。しかし、必ずどこへ行くにも追いかけてきます。 だんだん距離(へだたり)をちぢめてきます。そしてある日、ある時、あなたのすぐうしろまで近づいてきて、あなたの肩をポンとたたいて “おい!”といいます。 びっくりしてあなたが振り返ると、老いがスーッと顔をのぞかしてきます。 それを見て、あなたはびっくり仰天! それをオイル・ショックと申します。 はやかわ かずてる氏 1924年愛知県生まれ。 京都府立医科大卒業。50年、西陣に住民出資の診療所創設。その後、堀川病院に発展し、院長、理事長を歴任。南丹市美山町の診療所長も務めた。著書に「わらじ医者京日記」など。
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