ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

長生きの秘訣?

さわやか福祉財団理事長
堀田 力

 日野原重明先生、95歳。聖路加国際病院名誉院長、ばりばりの現役である。

 2度ほど講演会でご一緒したが、先生は演台を使わず、マイクを手にして舞台をぶらぶら散歩しながら(?)、聴衆に語りかけられる。時にサッカーのヘディングの格好をしたり、脚を高々と(!?)上げてみたり、お元気この上ない。その後で講演する私は、はなはだやりにくい。

 聞けば、5年先まで講演を受けておられる由。それでは、年齢が3ケタとなるではないか。73歳ながら、私は、2年以上先の講演をお受けする自信はとても持てない。

 秋山ちえ子さん、90歳。TBSラジオで45年間、連日コラム放送という世界的記録を打ち立てられた後、今はNHKラジオにゲスト出演しておられる。テーマは一任というから、よほど幅広い知識がないと続かない。

 この間、吉川英治賞の贈呈式でお会いしたら、「堀田さん、私、振り返っても、70代が最高だったわ。心身ともに充実して、世の中のこともよく見えた。あなた、頑張ってね」と励まされた。そういえば、75歳の曽野綾子さんも、「年を取るにつれて、いい判断ができるようになってきてるわ」と断言されていた。

 私のまわりを見まわすと、必ずしもそういう人ばかりではないから、やはり、人によるのであろう。ただ、日野原先生や、秋山さん、曽野さんらに共通するのは、強い好奇心である。人のこと、世の中のいろいろな出来事、他国のことなど、興味の対象はつきない。

 日野原先生も曽野さんも、伝えたいことがいっぱいあって、話が始まると止まらないし、秋山さんは「どうしてかしら?」と、ナゼナゼ攻撃で、私の専門である刑事法制についての質問でも、たじたじとさせられてしまう鋭さである。見習いたいと思う。



ほった つとむ氏 1934年宮津市生まれ。京都大法学部卒業。東京地検特捜部検事、最高検検事などを経て、91年に法務大臣官房長を最後に退職。現在、ボランティア活動の普及に取り組む。弁護士。著書に「おごるな上司!」「心の復活」「少年魂」など。