ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

住民と行政の協働

佛教大教授 岡崎祐司
 先日、京都府の「地域発未来っ子応援事業報告会」があり、府内の6つの団体・グループから報告があった。内容を詳しく書けないのが残念だが、どの報告も事業実施の3年間で参加者をひろげ、内容を充実発展させた「楽しい」報告であった。それぞれの団体の持ち味や特色を活かし、さまざまな工夫をしてユニークな活動をされている。

 この事業は、わたしも策定にかかわった京都府の子育て支援のアクションプランの一環として実施したもので、(今年度で終わるのだが)地域の子育て支援活動や子育て当事者の親の活動を、府行政が資金面や情報面で支援し、地域の子育て支援の力を高めようとするものである。この事業を提案したわたしとしては、住民活動の支援だけではなく、それを通して行政が住民活動とつながりをもつことや、協働することの意義をしっかり認識してほしいという思いがあった。

 どの活動団体も府の支援を受けていることで、会場の確保や市町村行政への協力要請、広報活動がやりやすくなり、さまざまな人々とのネットワークもつくりやすかったと報告されていた。担当された府の職員も各団体に丁寧に相談に乗り、年度末に1年間の活動の成果や課題を、関係者で共有し確認する場をつくる工夫もされた。「力強い地域の子育て支援の活動の報告を聞かせてもらって、励まされました」と出席した府職員が発言された。それは、実感だったと思う。

 住民と行政の「協働」が強調されているが、具体的な経験を積み重ねながら住民活動支援の有効な方法をつくりだし、同時に住民活動から地域をつくるノウハウを学び、行政の果たすべき責任はなにかをしっかり確認していく。こうした双方にとっての学習効果が重要なのだと思う。


おかざき ゆうじ氏 1962年京都市生まれ。佛教大大学院博士後期課程単位取得満期退学。同大助教授を経て、社会福祉学部教授。専門は福祉政策、地域福祉。著者に「現代地域福祉論」「現代福祉社会論」など。