ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

夜ふかし赤ちゃん

こどもみらい館 館長
浅野 明美
 昔の乳幼児健康診査は、赤ちゃんが、発育・発達ともに順調か、疾病や異常は無いかを中心にされていた。今は、それだけではない。子育て中の母親の体や心の状態、生活リズムや栄養などの知識や技術、助けてくれる人の有無、兄弟の様子などについても問診する。必要と思われたことについては、おみやげとしてお持ち帰りいただいている。

 4カ月児健康診査に携わっていて、一番気になることは「夜ふかし赤ちゃん」が多いこと。夜11時はザラ、時には昼夜逆転も。小さな子どもは睡眠時間も大切であるが、眠りに就く時刻(就眠時刻)はもっと大切なことを知っておいてほしい。体内リズムは午後8〜9時に眠るように組み込まれていること、成長ホルモン、抗利尿ホルモン、メラトニンなどの成長にかかわる内分泌系の発達には、就眠時刻を守ることが肝要であることを話しながら診察をしている。最後に「お母さん、赤ちゃんの夜ふかしの原因は何やと思う?」と問う。一番多い回答は、「お父さんが帰らはるの遅いし…」、次いで「私ら大人が遅くまで起きてるし…」、夕方に2時間くらい宵寝をしてしまう」など。

 「遅い帰宅のお父さんに何かしてもらうの?」と問うと、「お風呂に入れてもらわんならんし、そのあと子どもと遊ぶのが楽しみみたい」…遅いお風呂の後にホイホイとダイナミックな遊びでは…そら寝ませんわね。

 お風呂に入れるとノルアドレナリンの作用で「目がパッチリ」になるので、就眠予定(希望)時刻の2時間以上前にゆったりと入れてあげてほしいもの。おなかを満たして、静かにして、暗くして、お母さんが添い寝がベスト。連絡を密にして早い帰宅の時や休みの日はお父さんにお願いしてみてはいかが?

 子育て「優良企業」増加の記事を見た。子育て中の社員の残業免除を拡充した企業の紹介もあった。喜ばしいが、まだまだ少ない。次世代を育てるために、企業努力が広がらんことを願う。


あさの あけみ氏 1950年京都市生まれ。大阪医科大卒業。76年、京都市に入り、京都市立病院小児科に勤務。西京保健所長、南区長などを歴任。2003年、京都市子育て支援政策監就任。05年から現職。保健福祉局医務監兼務。