ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

劣化



こどもみらい館 館長
浅野 明美

 汚染米にまつわる一連のニュース、中国のメラミン入りの粉ミルクの被害増大のニュースに食の安全性の危機を感じ、憤りを覚える。「人」をまったく大切にしていない。

 美しい秋の月を眺めながら、おぞましい現実を悲しみ、また他の事柄をも憂う。

 授乳をしながら片手メール。リピートのビデオで子守。小学生の半数以上が1日平均6時間のメディア漬け。とても心配である。

 「テレビ・ビデオを子どもに接触させることの安全性と有効性は、世界のどの国でも一度も証明されたことはない」と米国の小児科学の権威は警告された。

 今、日本の子どもたちは壮大な人体実験中と他国の識者たちは注目していることをご存じか? 

 筋力、体力、視力、自律神経機能、言語能力、コミュニケーション能力、五感、学力、生命感覚等々、すべて「劣化」してきている事実が続々と証明されてきている。

 「人」が「人」を育てることの意味と大切さをいま一度見直していただきたいと切に願う。

 日本小児科学会子どもの生活改善委員会の「提言」(2004年4月5日)を紹介します。

  1. 二歳以下の子どもには、テレビ・ビデオを長時間見せないようにしましょう。(内容や見方によらず、長時間視聴児は言語発達が遅れる危険性が高まります)
  2. テレビはつけっぱなしにせず、見たら消しましょう。
  3. 乳幼児にテレビ・ビデオを1人で見せないようにしましょう。(見せるときは親も一緒に歌ったり、子どもの問いかけに応えることが大切です)
  4. 授乳中や食事中はテレビをつけないようにしましょう。
  5. 乳幼児にもテレビの適切な使い方を身につけさせましょう。(見終わったら消すこと。ビデオは続けて反復視聴しないこと)
  6. 子ども部屋にはテレビ・ビデオを置かないようにしましょう。



あさの あけみ氏 1950年京都市生まれ。大阪医科大卒業。76年、京都市に入り、京都市立病院小児科に勤務。西京保健所長、南区長などを歴任。2003年、京都市子育て支援政策監就任。05年から現職。保健福祉局医務監兼務。