ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

たのもしい学生たち

佛教大教授 岡崎祐司

 この原稿が掲載されるころには終わっているが、佛教大学の学園祭で学生と小野郷のみなさんがいっしょに模擬店を開く。学生が地域のみなさんと田植えをし、稲刈りをしたもち米で、小野郷名物納豆餅(もち)、よもぎ餅をつくり売り出す。また、びっくりするほど大きく育ち、山のように収穫できたサツマイモでスイートポテトをつくる。

 6月の「暖流」でも紹介したが、北区小野郷地域のこれからのまちづくりを行政、社会福祉協議会と学生・教員が連携して応援している。多くの学生が、田植え、サツマイモの苗植え、芋ほり、そして稲刈りなど住民のみなさんといっしょに農作業をするために何度も小野郷に足を運んだ。グラウンドゴルフ大会もしたし、地元のお世話で流しそうめんや餅つきも体験できた。

 実は、稲刈りの時には門川京都市長が小野郷に足を運びともに汗をながし、住民と学生を交えて“おむすびミーティング”が行われ、これからのまちづくりのありかたについて意見交換が行われた。大学との共同による地域活動に市長も注目してもらっていると住民も自信をもたれたと思うし、学生もこうした活動が市長をひきつけることもできるのかと、その意義を実感できたと思う。

 農作業を通して住民と学生が交流することの効果は、大きいと思っている。土にふれたことのない学生は、現役世代だけではなく高齢者からも指導を受けることができ、活動している実感を持てる。なにより、自然豊かな地で青空のもと車座になって昼食をとることが楽しい。こうしたふれあいから相互の信頼関係が生まれる。

 学生たちは自主的に学園祭模擬店を企画し、来年の小野郷カレンダーまで作成した。さて、秋から冬にかけてワークショップを実施する。これからのまちづくりのビジョンづくりに、応援団として学生たちはどんな力を発揮してくれるか。ほんとうに、たのもしい学生たちである。


おかざき ゆうじ氏 1962年京都市生まれ。佛教大大学院博士後期課程単位取得満期退学。同大助教授を経て、社会福祉学部教授。専門は福祉政策、地域福祉。著者に「現代地域福祉論」「現代福祉社会論」など。