ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

妊娠の心得



こどもみらい館 館長
浅野 明美

 性にまつわる迷惑メールの洪水。その被害者(?!)の若年化。先進国の中で日本だけが唯一エイズの増加国である事実…。トイレ出産や遺棄された新生児のニュース。妊娠が分かってから定期的受診をしない「未管理妊婦」の臨月時の救急搬送トラブルは枚挙にいとまがない。産科医の疲弊、産院廃院等、社会的損失は大きい。胸つぶるる思いがこの数年来続いていたが、昨年暮れに、とある記事を読んだ。

 妊娠する前から、妊娠・出産を通して至極当たり前と思われる大前提を簡潔にまとめられ、情報発信された勇気ある産婦人科の女医さんに拍手を送りたい。多くの方々にお読みいただきたく紹介する。おのおのの項目の補足説明等は、パソコンでの検索でどうぞ…。

 「妊娠の心得11カ条」  川崎医科大学付属病院(倉敷市)
 産婦人科医長 宋美玄
  1. セックスをしたら妊娠します。
  2. 「この男の子どもを産むためなら死んでもいい!」と思うような男の子どもしか産んではいけません。
  3. 妊娠しただけでは喜ばない。安易に他人に言わない。
  4. 神様から授かったら、それがどんな赤ちゃんでも、あなたの赤ちゃんです。
  5. 産むか産まないかは自分たち夫婦で決めましょう。
  6. かかりつけ医をもちましょう。
  7. 赤ちゃんはすべての運命をあなたに預けていることを忘れないで。
  8. 赤ちゃんが完全に元気かどうか分かる方法はありません。
  9. 出産はできうる限り安全な場所でしましょう。
  10. 下から産んでも、お腹(なか)から産んでもあなたはお母さん。
  11. 妊娠・出産は1つとして同じものはありません。
 母体と授かった赤ちゃんのことを深く思い、学び、行動していただくことを心から願います。

(4月から映画作家 河瀬直美さんが執筆します)


あさの あけみ氏 1950年京都市生まれ。大阪医科大卒業。76年、京都市に入り、京都市立病院小児科に勤務。西京保健所長、南区長などを歴任。2003年、京都市子育て支援政策監就任。05年から現職。保健福祉局医務監兼務。