ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

中山道540キロを歩く



さわやか福祉財団理事長
堀田 力



 緑に染まって、テクテク歩く。中山道を京都まで。1日平均10キロ。雨が降っても、ひたすら歩く。30日間、峠道。

 先頭に立つのは高畑敬一さん。79歳。NALCの愛称で知られるニッポン・アクティブライフ・クラブの創立者で、創立15年の今も、元気いっぱいな会長さんである。全行路を同行する(はずの)会員21人、国連の定義に従えば高齢者であるが、ご本人らの気分は、もちろん、バリバリの現役。

 何のためのウオーク?

 PRである。NALCは助け合いのボランティア活動を全国に広めて今や139拠点、会員は3万人に達しようという勢いである。「いくつになってもいきいきと、目標を持って人生を楽しみ、社会に役立とう」。中山道ふれあいエコウオークを楽しむ人々は、自分たちの姿で世の中の高齢者たちにそう呼びかける。その意思を表すために、沿道の公園や施設、学校などで植樹を行い、地域の人々と交流する。

 「高齢者と言ってもこんなに元気なんだよ。その力と知恵とを、もっともっと活用してよ」。行政や経済界などに対しては、ウオークはそういうメッセージを発している。

 高畑さんたちは、5年前のNALC10周年には大阪発で東海道五十七次、600キロを1カ月かけて歩ききった。この時は、途中の参加者を含めて2500人が、合計で14トンのゴミを拾った。私は東京で迎えたが、感極まって高畑さんの腕にすがりついて泣く旧妙齢の女性も出て、感動的な光景であった。

 途中参加1万人を予定する今回のウオークは、5月24日逢坂を越え、3時ごろ三条大橋到着、25日午後1時から京都会館で一般開放の一大記念イベントが繰り広げられる。

 東京・日本橋を発つ時は厳しい風雨であったが、10日ごろは木曽の山中。5月のさわやかな風が背中を押してくれているだろうか。


ほった つとむ氏 1934年宮津市生まれ。京都大法学部卒業。東京地検特捜部検事、最高検検事などを経て、91年に法務大臣官房長を最後に退職。現在、ボランティア活動の普及に取り組む。弁護士。著書に「おごるな上司!」「心の復活」「少年魂」など。