ともに生きる・福祉のページ
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

世界共通のあいさつ言葉

まちの学び舎ハルハウス代表
丹羽 國子



 4月は花が咲き、小鳥がさえずる季節!人間一人ひとりは、なにかと心ざわめく季節である。

 幼児期に戦争と2度の大地震体験から、今を精いっぱい生きて明日につなぐ事を学んだ病弱の私は、両親弟妹・親戚・周りの人たちの無償の愛(give&give)の下での療養生活と5年遅れの定時制高校から健康な生き方を学び続けて今、老いの季節を迎えている。

 健康な生き方は、人間の身体と精神(こころ)は不可分な一つの躰(たい)(body)ととらえ、躰のなかの心を広くして人と関わり、明るい笑顔で行動する事が肝要である。

 その人間関係は“お互いさま(give&take)”であり、つねに“与えられる事”よりも“与える心”を優先して、自分自身と向こう三軒両隣や友人を大切に暮らしている。

 とりわけ30年前、カタコト英語で英国研修へ行く際、恩師から“他国へ行く際は、世界共通であるその国の4つの基本用語をマスターして行くように”と教えられた事を守っている。4つの基本用語は、出会い・別れ・感謝・謝罪の素直なあいさつである。日本人の私は、ねぎらいの言葉を加えて、より良い社会関係が保てるように努めてきた。

 世界共通のあいさつ言葉は、人としてどこにいても人間関係をつなぐ大切な言葉である。「親しき仲にも礼儀あり」のことわざ通り、家庭内で毎朝起きて「おはようございます」と出会い、「行ってきます」と「おやすみなさい」の別れの言葉を交わして眠る事は必須である。

 また、感謝と謝罪の言葉は、ロンドンの通勤電車内の通路で、偶然の触れ合いに「すみません」、お腹を引っ込めて通路をあける人に「ありがとう」と言葉を掛け合っていた。

 誰に対しても調理中の野菜にも感謝の「ありがとう」を笑顔で言える人は、自分の心を豊かに広くし、お互いに気持ちの良いものである。

 「狎(な)れるな 慣れろ」と4つの基本用語を習慣にして、明日に向けて笑顔であいさつし合って生きて行こう!


にわ・くにこ氏 
看護師、ケアマネジャーを経て2009年まで佛教大教授(社会福祉方法論)名古屋市出身。72歳。