京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●コラム「暖流」
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。 距離感真宗大谷派僧侶
川村 妙慶
自坊の近くにBという喫茶店があります。15人も入ればいっぱいになる空間です。私はここを利用する理由が二つあります。一つは、サイフォンコーヒーの味と香り。二つ目は、マスターとお客の距離感が絶妙にすばらしく居心地が良いことです。
私が仕事の合間に立ち寄ったことを察すると、コーヒーを出してくれた後はカウンターの中に座り本を読んでいます。しかし、私が話しかけると立ち上がり、顔を向けて返事をしてくれます。おしゃべりを楽しみにくる客、読書とコーヒーを楽しむ客、ほどよい距離感をもってくれます。 さて、格闘技では「間合い」といって傷つかずに自分を守れる距離というのがあるそうです。この間合いのバランスを崩すと人間はしんどくなります。だから満員電車や雑踏を歩くというのは、自分の前にいろんな人が勝手に入ってくるわけですから疲れるはずです。 さて人間関係も距離感ですね。トラブルの代表的なのは嫁姑(しゅうとめ)の関係です。ある方から「姑が私たち夫婦の間に入って、常に夫の味方をする」という怒りのメールをいただきました。 そもそも親子関係は他人が入れないのです。どんな場合も息子をかばうものなのです。それを嫁が敵対心で向き合うから疲れるのです。私の心に矛と盾が備わっているのでしょう。そんな時は自分からほどよい距離感を取ればいいのですね。 ある日、お茶でもしようと台所に入りました。すでにいた夫と義母が突然おしゃべりをやめたのです。どうやらおまんじゅうを食べようとしていたようですが二つしかありません。私がいると食べにくいのだなと察しました(笑)。 私は「ちょっと用事を思い出したので出かけます」と芝居をうちます。(笑)。向かうは喫茶店Bへ、一人のんびりコーヒータイムです。 人の間と書いて人間。間という距離感をもつことは、自分を回復する大切な時間でもあるのですね。持ちつ持たれつでいきましょう。 かわむら みょうけい氏 アナウンサー、正念寺(上京区)坊守。メールで悩み相談受け付け。北九州市出身。46歳。
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