京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
|
●コラム「暖流」
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。 自殺したい人へ
うつ病の女性(40代)が“死にたい”と相談に来られた。じっくり聴いて
「そう。そんなに死にたいの?」“昨夜も薬を全部飲もう、と夜が明けたの”「そう、大変でしたね。今、地球はもっともどう猛な動物の人間が70億人を越えて、争いや破壊をするので悲鳴をあげているの。だれでもいつかはあの世に行くのだから、どうぞお先にと言っているかもね!」“え? 止めないの? ひどい人ね” 「ひどい? あなたを心配してくれる身内は?」“います。兄と兄嫁とおい・めい”「それならおやめなさい。あなたの死で、兄上家族一人ひとりの人生に暗い影を落とし、生涯悩み苦しむから。そして、あなたの自殺の仕方によっては葬儀までに莫(ばく)大な賠償費の返済も請求があるのよ」 と、これまで出会った自殺者のご家族の例(賃貸アパート内や飛び降り、列車の飛び込み、海・川への飛び込み等々)を話す。 “そうか。これまで迷惑を掛けっ放しだから、親や兄家族を解放してあげようと思って”「それは思い違いよ。自殺者の家族、とくに子に死なれた親や夫婦のどちらかの自殺だと、なぜ? なぜ? って、ご自分の死の間際に『あの世で尋ねる』と言われた人も」 “どうすれば良いの?”「人生は自分自身との戦いだから、今日より明日に向かって、小さな事で良いから変えてみることね。親や兄上家族の誕生日をカレンダーに付けて前日にカードや花1輪を贈るとか」“そんなことで?”「とっても大切な事よ」 と具体的に教えると“スッキリした。やってみる”と帰られて、それ以後、波はあるが元気になっている。 自殺したい人よ! がんじがらめのご自分の考えを実行する前に、身内の人たち一人ひとりを思い起こしてほしい。とりわけ妻(夫)や子を持つ人は、あなたの自殺によって、一人ひとりの人生が大きく変わり、死ぬまで生涯を通して悩み苦しむ暗い人生が続くことを! にわ・くにこ氏 看護師、ケアマネジャーを経て2009年まで佛教大教授(社会福祉方法論)名古屋市出身。72歳。
▲TOP
|