ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

ボランティアと健康

まちの学び舎ハルハウス代表
丹羽 國子



 名古屋の拙宅を改修してボランティア仲間6人と始めた「まちの縁側」活動の居ながらボランティアは、京都を含めて35人になり14年目を迎えた。

 0歳〜高齢者までのだれもがほっとして世代間や異文化交流ができるように「来る人拒まず、去る人追わず」の本位と五原則(ここに集う人は対等。年上を敬い、年下には大らかに笑顔であいさつ▽政治・宗教の勧誘は禁止▽清潔を心がける▽節水・節電に協力▽整理・整頓)を守っていただいて、大学生から80代まで個性的な自律した行動のできる仲間が当番制で維持している。

 仲間一人ひとりは、無理をせず、都合の悪い時は交代で助け合い、譲り合い、ほぼ毎月の話し合いで決めて行動している。

 昨日来た人なら続きの話ができるし、暮らし方の変化を知り、学ぶことができる。未知の人との出会いは、笑顔のあいさつから始めてお茶を出すとお互いにほっと一息をして、話が始まる。

 来られた人の表情や動作は、自分を映す鏡であるので、自分自身を見直す場として、いつの間にか対人関係のマナーと距離間が身につき、何よりも暮らし方の知恵を頂いて自分の生活に生かすことができるので、わくわくしていつも新鮮である。

 ボランティアは「Give & Take」のお互いさま! ほんの少し他人様の役に立つ事があるとうれしくなり、与えてくださった人に心より感謝することができる。昨年の来訪者は延べ6千人! 豊富な人の貯蓄から地域・行政・政治のありようが見えてくる。

 なぜか、ボランティアをしていると、仲間とともに加齢しつつ健康を維持することができる。

 論語の「徳は孤ならず、必ず隣あり」を実感し、いつまでも好奇心と謙虚さを忘れず、一瞬一瞬を大切に、心より来訪者を迎えて交流し、居ながらボランティアを続けていこう。ありがとうございました。


にわ・くにこ氏 
看護師、ケアマネジャーを経て2009年まで佛教大教授(社会福祉方法論)名古屋市出身。72歳。