京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●コラム「暖流」
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。 あなたは独りではない真宗大谷派僧侶 川村 妙慶
赤いリボンがトレードマークのキャラクターのキティちゃんは1974年に日本で生まれてから、今でも人気ですね。
さて、このキャラクターには口がついていないということをご存知(ぞんじ)でしょうか?なぜでしょう。それは「見る人の気持ちによってその表情が変わる」というのが理由だそうです。 私が嬉(うれ)しい時は一緒に喜んでいるように、私が悲しい時は一緒に悲しんでいるように見えるのだそうです。だからこのキャラクターを見ていると自分の心が投影されて「自分一人じゃないんだ」という気持ちになってくるというのです。 さて、私はそそっかしいことがあります。先日も、出張のために購入した切符があるのに、当日、あらたに窓口で購入して乗車。帰宅して使ってない切符があることに気がつきました。返金もできません。どーんと落ち込んだとき、友人からメールが。その悔しさを伝えると「そうだったの!でも妙慶さんだけではないよ。実は私もバタバタしているとき、大失敗してね」と打ち明けてくれました。「あなただけではないよ!私もね」といわれたとき、なんだか心が回復したものです。 私たちが寂しいと感じるときは「私は一人」だと思うときでしょう。調子のいいときには一緒に盛り上がる友だちはいても、調子が悪く皆から置いてきぼりにされたとき「大丈夫?」と声をかけてくれる友だちはいるでしょうか。私の人生にいつも向き合ってくれる人は、残念ながら家族であっても少なくなりました。 ではすべての人間関係はバラバラなのでしょうか。そうではありません。「相手だって寂しい」のです。寂しいときは、自分に声をかけてくれることばかりに気持ちがいきますが、逆にこの私も相手に声をかけているでしょうか。 まずこの私が相手に心を開くことで、人間関係が深まるような気がします。 嬉しいよ!よかったね。 悲しいよ!辛かったね。 こんな会話から「私たちは独りではないんだね」とわかちあいたいですね。 かわむら みょうけい氏 アナウンサー、正念寺(上京区)坊守。メールで悩み相談受け付け。北九州市出身。46歳。
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