京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●コラム「暖流」
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。 本当のボケとは真宗大谷派僧侶 川村 妙慶
今や四人に一人が60代という時代になりました。60歳といえば還暦ですね。そもそも還暦というのは「暦が還る」という意味です。
若いうちには勢いで生きてきた。すると40歳くらいになると「そろそろ形になるものがほしい」と方向性をきめずにはおれなくなる。50歳くらいから身につき、60歳になりもう一度、元の原点に戻りましょうというメッセージなのです。だから、60代になって互いに「感謝」という所にかえりましょうという意味だそうです。 しかしある人は「私はボケたらどうしよう?」と心配します。物忘れがひどくなると「ボケ」の仲間入りと思われがちですが、私は自然なことだと思っています。だって私たちは、さまざまな情報を毎日身体に入れています。するとインプットだけではパンクしてしまいます。どこかでアウトプットすることも大切なのです。あの人の名前が出てこない。思い出せない。そういうこともあるでしょう。 しかし、それは興味がないから忘れているのでしょう。本当に興味があれば覚えているものです。 本当のボケは「感動、感謝の心を忘れた人」なのです。お寺の掲示板にはボケない「カキクケコ」を貼っています。 カ…感動。どんなことでも感じて、心を動かせる人。キ…興味を持つ。こわいのは無関心です。「知らん」「面倒くさい」そうなると心までも老けてきます。ク…工夫する。どんな境遇にぶつかっても、どうしたらいいかなといつも考え、周りから学ぶことで方向性が決まります。ケ…健康に気をつける。バランスのとれた食事。歩ける方は歩きましょう。手足をうごかすことは、脳も活性化されるそうです。コ…恋をしましょう。どんなことにも心のときめきを持ちましょう。「こんな年だから!」と決めつけずに。 人間には一つだけ老けないという所があるそうです。それは「心」です。どんなことでも心を動かし、すべてに頭を下げられる人でありたいですね。 かわむら みょうけい氏 アナウンサー、正念寺(上京区)坊守。メールで悩み相談受け付け。北九州市出身。46歳。
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