ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

人から学ぶ経験を通じて学ぶ

関西大教授 所 めぐみ




 今ちょっとわくわくしている。この原稿を書いている数日後にある研修を行う予定なのである。地域住民と福祉などの専門職が一緒に学ぶ研修である。

 私はここ数年、地域福祉に関わる人材研修の企画、運営、評価など一連のプロセスを、当該地域の行政、社会福祉協議会、専門職の方々とチームで行っている。ある市の地域福祉計画で計画された地域福祉型人材研修センターの機能を検証する作業の一環である。地域住民や専門職らがそれぞれもつ力、また協働の力を発揮して、地域の福祉課題を解決することをめざす研修や学習会の企画実施である。研修の実施だけが目的ではなく、地域の福祉課題、地域福祉に関わる人々や今後関わってほしい人々がすでに持っておられる力や学びのニードなどを把握し、それらに応じた学びのプログラムを開発し、教材づくり、当日の講師やファシリテーター(進行役)、評価も行える力を地域の中に培おうとするものである。

 4年目となる取り組みで、これまでは専門職向けの研修プログラムの企画実施、研修センター機能の検証作業、プログラムの企画実施・評価の力をつけるための学習会、他地域での地域福祉人材育成の取り組みのヒアリングや視察などを行ってきた。より地域密着型で地域課題解決のための学びのニードに対応できるよう、昨年はモデル地域を設定し、専門職と地域住民リーダーに協力していただき、学びのニード把握のためのグループインタビューを行い、その分析をもとにプログラムを開発した。今回はそのプログラムの実施であり、講師やファシリテーターもチームで担う。

 プログラム開発のコアメンバーは、地域福祉に関わっている行政、社会福祉協議会の職員、地域包括支援センターの専門職などであるが、高齢、障がい分野などの専門機関・団体の連絡会や民生委員にも検討に加わっていただいた。

 人から学び、経験を通じて学ぶ。対話が欠かせない学びの方法である。



ところ・めぐみ氏
1967年生まれ。同志社大文学部社会福祉学専攻卒。関西大人間健康学部教授。専門は地域福祉方法論、福祉教育。