ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

シニア男性の出番





 「男性の笑顔が地域を支える」??? 地域を支えるのは子どもの笑顔か女性の笑顔じゃなかったっけ。男性が地域で笑ってる?

 「男性の笑顔」と赤い字で大書したこのポスターは京都市と京都市社会福祉協議会の共同作成。副題に「〜シニア世代の男性の社会参加・仲間づくりを応援!男性による地域の支え合い活動が広がる〜」とある。

 ポスターが紹介する活動は二つ。「下京男塾」と「右京気ままおやじ会」で、いずれも市が社協に委託した男性の社会参加を促す講座から生まれた。コーヒー、写真、ウクレレ、料理などを学び、趣味から地域貢献へと活動を広げていこうとしている。

 活動しているシニア男性のどの笑顔も魅力的で、そのせいかこのポスターは、9月にさわやか福祉財団が大阪で開いた「いきがい・助け合いサミット」の「いいね!」投票で145票を獲得して8位に入賞した。全国の自治体がそれぞれに知恵と努力を傾注して展開している地域づくりの助け合い支援の状況を紹介する134枚のポスターの中から、堂々の上位入賞である。

 1位になったのは大阪市平野区の社協が作成した「The男組」で「60才以上の男性を対象とするいきいきと輝くセカンドライフを応援するグループ」の活動を描くポスター。

 サミットでは、全体シンポで宮本太郎さん、袖井孝子さんら諸先生は日本の共生社会の大きな課題としてシニア男性の助け合い活動への参加を挙げたし、54の分科会でも企業OBや地域の中高年男性の地域活動への参加をテーマとする分科会に多数の参加者が集まった。

 このサミットの参加者は、各自治体の生活支援コーディネーターなど地域の助け合い活動を仕掛けている人たちがほとんどだから、仕掛人たちは、シニア男性たちの参加をよほど期待しているのであろう。

 実際、シニア男性を欠く地域の助け合いでは限界が出ているから、当然の期待と言えよう。



ほった つとむ氏
1934年宮津市生まれ。京都大法学部卒業。東京地検特捜部検事、最高検検事などを経て、91年に法務大臣官房長を最後に退職。現在、ボランティア活動の普及に取り組む。弁護士。著書に「おごるな上司!」「心の復活」「少年魂」など。