ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
わたしの現場

NPOをサポート
連携、信頼構築…次代へ先陣

 

田口 美紀(たぐち みき)さん



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スタッフと業務内容を打ち合わせる田口さん
 京都市下京区五条通高倉西入ル、いづつビル6階に「きょうとNPOセンター」がオフィスを設けている。数個並んだ机に電話、一角に丸テーブル一つ。こぢんまり、簡素なフロアである。

 田口美紀さんは、ここで、プロジェクト・マネジャーを務める。市民活動の現場に直接、かかわるポストから今春、転じたばかりだが、新たな現場に、すんなりとけ込んでいる。「自分の方から動き、語りだしていかないと」。意欲を高めている。

 特定非営利活動促進法の制定から12年、全国のNPO法人が3万9734、京都は994(3月末、内閣府調べ)に上っている。設立・認知の創設期から一区切りし、次のステージへ、移りつつあるようだ。

 同NPOセンター(TEL075-353-7688)は、同法制定の年に設立。市民社会構築のために▽NPOの基盤強化交流・連携教育と調査・研究▽市民社会の創造と四つのアクションを掲げ、社会的ニーズにこたえる多様な事業を進めている。

 田口さんは大学で福祉を学び、ついで英国で1年間、福祉の現場で活動、帰国後、同NPOセンターに就職し、1年間の京都府庁への出向をはさんで通算4年半、京都市市民活動センターで働いてきた。NPO関連講座の運営や情報交流、メールマガジンの発行や相談など基幹的な仕事を受け持った。

 「NPOの相談では、人材や資金不足について、さまざまな団体や人、あるいは助成金などの情報を提供する機会が、かなり多くありました。その一方で気づいたことは、グループによっては目前の目標を果たせる力量は十分でも、いざ、中長期の目標達成へ計画がなかなか立てられない、という傾向も見受けられました」とふり返る。

 新任ポストで田口さんは、三つのプロジェクトに携わっている。一つは浄土宗主催の共生・地域文化大賞の運営事業、草津市の市自治体基本条例策定委員会のコンサルタント業務、そして同センターで独自のNPOの社会的認証制度システムの構築だ。

 「大賞では全国のNPOに向けてさまざまなメディアにより広報活動をすすめ、また全国の末寺7千寺へチラシを送るなど活動への参加を要請します。募集から選考、表彰式まで準備業務をすべて、引きうけています」と、宗教団体の文化事業と連携する事例を説明する。

 「草津市の条例策定検討についての委託事業は、住民が主になって検討し、骨子案まで作成する試みで、自治体とNPOの協働事業としては先進的な試みなんです。

 さらに「認証システムは、NPOが多様に増えてきて社会貢献の協働事業や委託業務などを請け負うなかで、求められる期間しっかり継続できるかなどの点が問われてきていますので、独自信頼担保システムとして構築している最中なんです」と話す。

 田口さんの3つの仕事から、同センターが、社会の多様な組織と連携を進め、ついで新たなビジネスモデルを開拓し、さらには社会的信頼の担保制の創出へ。POの先進的な前線の一端が見えてくるようだ。