ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
わたしの現場

消費者目線で社会変える
視覚障害者が暮らしやすく

 

大西正弘(おおにし まさひろ)さん



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ボランティア講座で受講者の点字の試し打ちについてアドバイスする大西さん(京都ライトハウス)
 「勤めているときは、仕事の合間にボランティア活動をしていたんですが、2年前に退職した後は、毎日、時間があり、あれこれとすることが増えて、かえって忙しくなりました」

 市民ボランティアグループ、ユニーズ京都代表の大西正広さん(66)は近況を、そう話しだす。

 40年前、京都盲人福祉研究会として十数人で発足し、今は会員約60人。目の見える人も見えない人も対等にかかわりながら、視覚障害により生じる社会的不利についてともに考え、行動する、との目標を掲げる。

 京都ライトハウス(京都市北区)で開かれているボランティア講座をのぞくと―。

 「自動販売機前の案内ではガイドされている人が欲しているものが、まずは温かいものか冷たいものか、つぎにコーヒーなのか紅茶なのかなどと、徐々に的を絞って聞いてあげてほしいですね。これはトイレでも、道路や駅の案内でも同じやり方なんです」

 講師・大西さんの説明は、ていねいに、実際的で、行き届いている。もともと弱視だったが、30歳初めから一人歩きができにくくなり、その後の長年にわたる経験や知識が、講座のはしばしに採り入れられている。

 「現在の活動は、第一にボランティア講座を年1、2回開いています。視覚障害者の現状を広く知ってもらう、入門コースです。そこから音訳、点字、アイヘルパーなど希望によって、次のステップへ進むことができます」と講座を紹介する。

 「今、力を注いでいる事業は、点字メニューの拡充なんです。1981年から点字メニューを京都市内などに最多130店に設置しましたが、最近、音声メニューを新たに作成し、導入を進めています。既にある大型デパート内の飲食店25店に設置し、次いで他店での導入を計画しています」。さらに「08年に始めたアイヘルパー活動は、他府県から京都に観光や研修などで来られた視覚障害の方をガイドするものです。アイヘルパーの養成講座、実習を経て、現在、登録ヘルパーが45人です。この10月までに利用者は計89人にのぼります。全国では東京に次いで2番目です」と成果を伝える。

 大西さんは10年前から、点字電子手帳を情報器具として活用している。音声でも、墨字からでも点訳してディスプレーに表示することができる。「パソコンにつなぐとインターネット、Eメールも利用できます。以前と違って、読み書きが容易になり、情報が増えて、アイデアが豊かになってきています」とも語る。

 その中から市民や利用者に向け活動を紹介する情報紙、京都発「ユニーズ新聞」を今月に発刊する。紙の印刷版のほか音声版、点字版と3種を準備する。さらには日常の生活用品の宅配便などの梱包(こんぽう)の内容物についての情報を音声で読みとり可能なタグシールの装着を、関係企業へ働きかけることも計画中だ。消費者サイドから社会的な支援の拡充を―とファイトを燃やしている。

 連絡先は 電話075(722)6484。Eメール shimin-youneeds@kyoto.zaq.ne.jp