京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●この人と話そう
「驚き」と「気づき」広げたい |
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「障害のあるなしに関係なく、ここが自分の居場所だと思える場所が今は少ないと思う。いい居場所づくりを進めていきたい」(!−factoryで、写真・遠藤基成) |
《NPO法人の「!−style(エクスクラメーション・スタイル)」という名称はちょっと変わっていますね》
びっくりマークは「驚き」と「気づき」です。障害のある人の施設のイメージを一新したいという思いを込めてます。目をひきつける商品やおいしい商品に驚きを感じてもらい、その商品が市場で評価を受けることで、障害のある人の仕事力はこんなにあることに気づいてもらいたいのです。
「style」はやり方や様式で、障害者福祉は変わらなければならない、といわれますが、障害のある人はまじめに頑張る人がほとんどで、問題は周囲の支援のあり方にあると思うのです。ちゃんとした環境を支援者がつくることで社会にアピールしていきたい。
《アピールする方法として吉野さんたちは企業との連携を進めています。大手通販会社と提携して陶器の小さな家型スタンプを作って人気を得たり、建築・内装会社と一緒に「昭和タイル工業」というブランドのオーダーメードタイルをつくるなど多彩な陶器製品、それに飲食店向けにその店ならではの味の仕込を支える半調理品の提供もしています。福祉とビジネスというとかつては別世界のイメージがありましたが》
障害者をビジネスに巻き込むのかという批判を受けることもあります。でも僕たちはビジネスという手法を使っているだけなのです。この手法がみんなの力を広く伝えやすいと考えています。
よく「企業はお金にならないことはしない」といいますが、僕はお金にならないことをお金に変える力を持っているのが企業だと思っています。企業の中には福祉と連携したビジネスモデルづくりに意欲がある人も多い。そういう人たちに本当に助けてもらったんです。福祉の側から積極的にアプローチしていくべきです。
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よしの ともかず
京都育ちの33歳。1997年、ビジネス系専門学校卒後、京都市内の知的障害者授産施設に就職。施設勤務時代に「デザインで変える福祉」をキーワードに、施設製品のデザイン提供活動などを行う。2002年に「!−style」を立ち上げる。06年にNPO法人となり統括マネジャー・副理事長に。07年に障害者就労移行支援施設「!−factory」がオープンし、施設長となる。