京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●この人と話そう
震災避難の人々に集いの場
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「キッチンNagomi」のスタッフと歓談する大塚さん。「ここで食事をして、笑顔で働く私たちを応援してください」(京都市下京区・大宮七条) |
はい。(関西広域連合の割り当てで)福島県の方を中心に京都にたくさん(10月29日現在280世帯744人、府調べ)おられることを知り、最初はお子さんを一時預かりできたら、避難者の方は病院や行政手続きに行ったりできるのではないかと交流会に参加し、支援する側の人とも出会いました。
そこで、今後何が必要か一緒に考えるうちに、いつでも誰かが話を聞いたり、東北の人同士で友だちになれたり、気持ちを分かち合ったりする居場所ではないか、ということになりました。実際私たちが相談を受けたときも、最初は震災の日の恐怖とか、避難した経緯とか、自分の体験を話して「ここで初めて話すことができた」という人が何人もおられましたから。
「ハイビスカス」はNPO法人格を取得しているので、助成金を申請し、避難されている方々が気軽に集えるよう、昨年10月に立ち上げたのが「福興サロン『和』」で私が専従となりました。
《どんな活動をしているのですか》
昨年度と今年度の前半は交流会が主でした。孤立をなくし、ひと休みをしていただくのが一番の目的です。そのためお料理会などのプログラムを立てたり、季節のイベントを開催したりしていました。8月までは月1回、念珠作りの会も開いてきました。
被災地支援では、宮城県石巻市の渡波(わたのは)地区に、一時保育施設を5月から開いています。交流会の出会いがきっかけで、住民の方から依頼されました。保育園が津波で流されたのに加え、被災者が集まって暮らす仮設住宅は、近隣トラブルなどから育児ストレスがたまりやすいですから。
《念珠作りの狙いは何だったのですか》
私も夫も僧侶なので、石巻市にボランティアに行った時に念珠を作ったら大変好評で、これを内職で作ってもらい、全国の人に買ってもらったら直接の支援になるのでは、と考えました。被災地の方や京都に避難した人約70人に、これまで約6000個を作ってもらいました。プラスチック製だと一個500円。天然木のものは800円。作った人にはメッセージを入れてもらって販売しています。
《運営資金はどう手当てしているのですか》
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おおつか・あかね
1978年、佐賀県の寺に生まれる。
岡山大文学部卒業後、中央仏教学院(京都市右京区)に入り在学中に得度。2006年に北区のNPO法人ハイビスカスに入る。11年10月に下京区のJR丹波口駅近くに「福興サロン『和』」を開き専従に。12年9月、同区の大宮七条に「キッチンNagomi」=TEL 075(354)7135=を開業。11月から「福興サロン『和』」を移転し統合した。三重県四日市市にある夫の実家の寺で若坊守も務める。