京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●この人と話そう
認知症ケアに当事者の視点
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「京都式認知症ケアを考えるつどい」で司会を務める森俊夫さん(右)。中村重信・洛和会京都治験・臨床試験支援センター所長の閉会あいさつに耳を傾ける(2月12日、京都市上京区・同志社大学寒梅館) |
《当事者の視点をどのように把握したのですか》
「京都文書」のデータづくりには京大病院老年内科の武地一先生の提案でデルファイ法という特殊なアンケート調査を用いました。
認知症の医療とケアにおいて▽私たちができていることとできていないこと▽「入口問題」(医療・ケアへのアクセスを阻害する社会・経済的要因)の様相─など九つのテーマに対し、約30人の専門家と当事者家族から集約しました。結果、当事者の思いとして▽できることを奪わないでほしい▽自尊心が傷ついているのを知ってほしい▽もっと話を聞いてほしい▽地域の専門職ネットワークを作りケアを充実してほしい▽家族の意向ですべてを決めないでほしい─などが代弁されました。
《京都文書」の内容はどのようなものですか》
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《そのための方法は何がありますか》
宇治では認知症診断シートを作っています。上段に代表的4疾患であるアルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型の、下段に軽度、中度、重度というステージ別の特徴を記しており、自分で判断して気づいてもらおうという試みです。その人の暮らしぶりの情報を集めたうえで、シートを使うと、だいたい正確な線が得られます。
《1000人を超える来場者があるほど関心が高かったのはどんな背景があると考えますか》
一つは高齢者と、それに伴う認知症人口の増加です。自分自身であったり、家族であったり、いずれはなるかもしれないと思っている人であったり…。認知症は今や当たり前の疾患になりました。
いま一つには、それにもかかわらず、医療やケアは未確立なままです。京都の認知症ケアを変えなければならないという思いは、沸点に達していると感じます。
もり・としお
1956年生まれ、岐阜県出身。
83年、鳥取大医学部卒業。精神科医。京都大医学部付属病院精神科を経て、87年から京都府立洛南病院(宇治市)に勤務し現在は診療部長。統合失調症を中心に診ていたが、91年、同じ病院にいた小澤勲さん(精神科医・故人)の依頼で認知症医療にも携わる。「つどい」の全記録「認知症を生きる人たちから見た地域包括ケア」(クリエイツかもがわ)を、実行委員の一人として刊行した。