京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●この人と話そう
障害者の雇用で宿泊施設再生
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レストランのランチバイキングの後片付け。訪れる人が絶えないが、スタッフが障害者だと気づかない人も多い(京都府与謝野町金屋、右端は青木一博・よさのうみ福祉会事務局長) |
《リフレでは何人の障害者がどんな条件で働いているのですか》
障害者は全部で20人。ホテル、レストラン、お風呂の部門で働く13人は、京都府の最低賃金に当たる時給759円を支払う就労継続支援A型で、月に約20日、日に4〜5時間働いてもらって、月7万円弱から10万円払います。障害者年金と合わせれば生活できる水準で、結婚に一歩近づいた人もいます。パン工房などの7人は就労継続支援B型(最低賃金を満たさない福祉的就労)なので時給250円。精神、身体、知的と障害の種類はさまざまですが、みんな職場に思い入れを持って働いてくれています。それ以外に職員も14人います。
《障害のある人に働いてもらうには工夫した点はありますか》
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《経営はうまくいっているのですか》
厳しいです。人件費とお風呂の重油料が負担になり、初年度は大きな赤字でした。来年度は赤字ゼロが見通せるようになればと思っています。リフレの再生は、地域の障害者の働く場であるとともに、活性化へ向けた町民の願いの反映であり、何としても成功させないといけないと、福祉会の重点課題に位置付け、全体の収益の中から赤字を補てんしてもらっています。
《地域の人とはどういう協力をしているのですか》
レストランの食材は地元の農家から提供してもらっています。また自治会や農業団体、バス会社、近隣の観光施設に町も加わった「リフレかやの里運営協議会」を結成しており、昨年は周辺の各施設と、イベントの日を合わせて、秋の大感謝祭と銘打って広く宣伝したところ、多くの人に来ていただけました。
与謝野町は文化、歴史、伝統があり、ちりめん産地として栄えた土地です。人に来てもらうことで地域を再び元気にしたいと思っています。そうなれば障害者の暮らしも自然と良くなりますから。
ふじわら・さゆり
1962年、京丹後市峰山町生まれ。
府立峰山高、奈良県の短大初等教育学科卒業後、84年、峰山共同作業所に就職。86年からみねやま作業所など、よさのうみ福祉会の施設で勤務。2011年、食と健康の拠点施設「リフレかやの里」管理者として着任した。指定管理者への歩みと同福祉会の歴史は「福祉がつなぐ地域再生の挑戦」(黒田学・同福祉会著、クリエイツかもがわ)に詳しい。