京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●この人と話そう
買い物の困難、支える障害者
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販売を終え商品を片付ける「ぎょうれつ本舗」のメンバー。「最初からきちんとしたものを目指そう」との方針から、黄色いユニホームと緑ののぼりをトレードマークにしている(高島市朽木栃生) |
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《買い物に来るのはどんな人ですか》
高齢の女性が多いです。独居や老夫婦だけの人のほか、4世代が集まってくれる集落もあります。買い物に来た方が、我々との会話を楽しんでくれたり、お客様同士で昔の井戸端会議のように盛り上がったり。そんな時には、コミュニティーを支える役割を果たしていると実感できます。
《障害のある人にとって販売員をすることで、よい影響はあるのですか》
障害のある人は、時間をかけて習得していく方が多いので、5年先、10年先を見据えて力を付けていくのが目的ですが、販売の現場では自分が必要とされていることが、分かりやすいです。「また来てね」「助かるわ」と言われることで自信が持てるようになりました。今までサービスを受ける側だった人たちが、「ぎょうれつ本舗」ではサービスを提供する側に変わるのです。販売員以外にもかやくご飯を炊いたり総菜を作ったり、洗車やユニホームの洗濯などの幅広い仕事が必要になりますので、得意分野を生かして働いておられます。
《採算はとれているのですか》
移動にかかる経費を上乗せせず、市価で販売するので利ざやは少ないです。ただ、高島市の協働提案事業に応募したところ、高い評価で採択され、12、13年度は市の補助金を受けられるようになり、事業費の一部に充てています。
市からは区長を紹介してもらったり地域の事情を教えてもらったりと、財政的支援以外にも協力してもらっています。課題は、補助事業でなくなるときにどうやって自立するのか。必要としてくれる人がいるので続けたいのですが、そのための事業収入を上げるのにはどうしたらいいか考えています。
《具体的なアイデアはありますか》
困りごとでできる事があればお手伝いさせてもらい、どうしようもないことは市に伝えるのが一つの役割です。さらには商品を届けたときに高齢者の安否確認につなげたいですね。今では遠方の息子さんや娘さんに写真や映像にして送ったりできますから。本年度中に実現できないかと考えています。高島市は雪が多いので冬には販売員のほか雪かきの要員も同乗して、地域の役に立ったりとか。そういう付加価値をつけながら「ぎょうれつ本舗」の将来的な自立につなげたいです。
障害のある人の一般就労につなぐところまではいっていませんが、将来的に実現できるといいですね。
たむら・きよみ
1959年、滋賀県朽木村(現・高島市)生まれ。
安曇川高を経て81年、愛知県の中京女子大体育学部卒。帰郷して結婚、子育ての後、小学校の臨時教員を約8年務める。障害児学級の子と一緒に勉強したことが契機となり97年4月に社会福祉法人「虹の会」の職員募集に応募。「アイリス」「ドリーム」各施設長を経て2013年から「虹の会」統括施設長兼アイリス副施設長。
「ぎょうれつ本舗」の事務局はアイリス TEL0740(25)5315