ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
HOPE 乳がんとの闘い

リレーフォーライフ
支援者の優しさ、勇気と希望に (2015/08/18)



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京都で初開催したリレーフォーライフで仲間と歩く櫻井さん (2011年9月17〜18日、亀岡市千歳町の市七谷川野外活動センター)

 私は、「リレーフォーライフ(RFL)」というがん征圧・患者支援のボランティアをしています。リレーフォーライフとは、一年を通じてがん患者さんやそのご家族を支援し、地域全体でがんと向き合い、がん征圧をめざすチャリティー活動です。

 1985年、一人の医師がトラックを24時間走り続け、アメリカ対がん協会への寄付を募りました。「がん患者は24時間、がんと闘っている」という思いを共有し支援するためでした。ともに歩き、語らうことで生きる勇気と希望を生みだしたいというこのイベントは、2014年現在、全米約5500カ所、世界20カ国以上で開催されています。

 日本国内では、06年9月、茨城県つくば市で第一歩を踏み出し、14年度は全国43カ所で開催されました。「One World One Hope!」は、世界の合言葉です。

 11年1月、京都府での初開催を目指し友人やPTA仲間、企業や病院をまわりボランティアさんを募ると同時に、開催場所を探しはじめました。私自身が、RFLに参加したことがなく動画を見ただけでしたので拙い説明しかできませんでした。そして、イベント知名度もなく24時間開催の壁を乗り越えるのは大変な苦労がありましたが、仲間と亀岡市と同市千歳町自治会の皆様のご理解とご協力を得て七谷川野外活動センターでの開催が決まりました。

 同年2月12日、31名のボランティアさんが参加されて初めての会議を開きました。その時に、ある方が「一人の夢が、みんなの夢になりましたね」と言ってくださいました。みんなの夢と思ってくださることが、とてもうれしかったです。

 そして、初会合の2日後に私は手術を受けました。全身麻酔から覚めたときに、看護師さんの手を握って「ありがとうございました」と伝えました。感謝と安堵(あんど)と、がんに胸を渡した悔しさなどが合い混ざっていたのでしょう。静かにあふれる涙は、誰にも話すことなくきた告知から今までの心のようでした。入院期間の3日間、家族や友人が来てくれて元気をいただきました。

 退院後2週間はゆっくりと体を休め、その後にRFL活動を再開しました。その中で多くのがん患者さんとお会いして、部位もステージも年齢も関係なく語り合い支え合う友達が全国にできました。そして、私たちがん患者を応援しサポートしてくださるたくさんの支援者の方々の優しい思いは勇気と希望を与えてくれました。

 リレーフォーライフは、チームでも個人でも参加できます。京都会場では、1本のたすきをつなぎながらウオークをして夜を超えていきます。体調に合わせてご都合のよい時間に参加していただけます。ぜひ一度、リレーフォーライフ会場にお越しください。一緒に歩き、語らい、がんのことを学び、希望を持ち帰ってください。

 全国のRFL会場と日程は、(公財)日本対がん協会HP「リレーフォーライフ」に掲載しています。

 RFLJ京都(プレイベント)は10月4日に京都ノートルダム女子大学で、RFLJ滋賀は10月24〜25日に国民休暇村近江八幡(宮ケ浜 )でそれぞれ開催します。

さくらい・ゆうこ
1958年、大阪府出身。2010年に乳がん告知を受け現在も闘病中。11年リレーフォーライフ(RFL)京都設立。12年アメリカ対がん協会インターナショナルヒーローズ・オブ・ホープ認定。Imaiki Cafe「わたぼうし」副代表・RFL京都・ピアサポーター活動中。亀岡市在住。