ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。


多くの人が待ち望む活動

公益社団法人・京都犯罪被害者支援センター理事
宮井 久美子さん


京都犯罪被害者支援センター(京都市上京区)の事務局で語る宮井さん(右)
 1981年は国際障害者年でしたが、その一年前に友人から誘われてボランティア活動に参加したのが、この世界とつながるきっかけでした。そこでせっかくの国際障害者年だから、京都のボランティア団体が一堂に集まる組織をつくろうということになったのです。私は世話役の一人として参画し京都ボランティア協会が結成されました。それから10年間、この協会の運営委員としていろいろな活動をしたのですが、印象に残るひとつとしては配食運動がありました。一人暮らしのお年寄りの方たちを対象に始めたのです。今では当たり前のようになっていますが、当時はまだまだ少なかったのです。活動を続けるうちに、ボランティアの役割は何が必要かを見つけて行政のさきがけをして行動を起こすことだと思いました。

 ある日、同志社大学の大谷實先生から犯罪被害者支援のボランティア団体づくりに参加しないかというお誘いを受けました。犯罪や事故などに遭われた被害者やご家族の方々の精神的な苦しみや悩みなどを受け止め、その回復の手助けを図ろうというものでした。どんな風にするのか、最初は見当がつかない感じでしたが、だんだんにその必要性や具体的な活動内容が理解できました。

 任意団体として京都犯罪被害者支援センターを設立するまでの一年間は忙しく、相談事業を出来る人材の育成と確保も急務でした。98年に発足したのですが、多くの方がこういう活動を待ち望んでおられたことを実感しましたね。「思いや苦しみを受け止めてくれるところがほしかった」という声が多数寄せられたのです。

 今のセンターの業務の電話相談には、年間、500件から600件の相談があります。そのうち3分の1が性的被害関係、後の3分の1が交通事故関係、残りの3分の1が傷害などの事件関係です。電話だけでなく来所していただいての面接相談や、裁判支援といって傍聴など付き添いもします。私はセンター設立当初から事務局長として14年間活動しました。毎日センターに出ていました。あっという間の14年間でしたね。

 今は誰が犯罪の被害者になるか分からない時代です。私の願いはこのセンターの活動をもっともっと多くの方に知っていただきたいということです。それと財政的に厳しいので、関心がある方はぜひとも支援をお願いしたいですね。また、センターの事業としては相談を受けることができる人材の育成、これが事業継続にとって非常に重要です。必要とされている方がおられる限り、どんなに大変でも続けていくことが大切だと思います。



みやい くみこ
1936年京都市生まれ。58年同志社大文学部卒業。
80年代は京都ボランティア協会運営委員として活動。お年寄りへの配食サービスなどにも携わる。また犯罪被害者の精神的ケアなどを担う団体設立の準備段階から奔走。98年から2012年まで京都犯罪被害者支援センター事務局長として活躍。
現在、同センター理事。77歳。