ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

シニアの輪と笑顔のために

NPO法人「シーズネット京都」理事長
村田 忠さん




事務局で談笑する村田理事長(京都市上京区)
 四国の徳島で生まれ育ちました。京都に縁ができたのは学校を卒業して京都市内のメーカーに就職したからです。そこを定年前に退職して沖縄県と福岡県の大学の工学部で学生を教えました。京都に戻ったのは70歳のころでした。友達がいなくて寂しかった時に「シーズネット京都」(事務局・京都市上京区)を知って入会したのです。楽しく活動しました。次々と友達もできました。事務局の仕事を手伝ううちに副理事長となり、初代理事長の岩見太市さんが亡くなられて理事長になりました。

 この団体は、シニアの方々の老後を支え合う「仲間づくり」、これまでの経験や知識を生かす「役割づくり」、さらには心豊かに時を過ごせる「居場所づくり」の「三づくり」を積極的に行う団体です。任意団体として2001年に創立され、翌年にNPO法人となりました。

 「シーズネット京都」には50近いサークル活動や教室があります。会員は約300人です。女性が多いですね。会員が講師にな?て会員に教えるのです。私は万葉集が好きで仕事のかたわらずっと勉強してきました。その知識と経験を生かして私自身が「たのしい万葉集」というサークルをやっています。1カ月に1回ですが、もう10年近く続けています。

 もうひとつ私がやっているのは「GIVE & TAKE の会」です。これは集まった人がそれぞれこの1カ月にあったおもしろい話を6分間話して、あと6分間は質疑応答で、これを次々にやるんです。人気のある「えんぴつクラブ」はエッセーを書きます。ほかに「元気に楽しく歩こう」「シャンソン教室」「座禅」「史跡めぐり」「京都の謎研究」「カメラ倶楽部」など多彩です。毎日何かをやっています。場所は会員の方に提供していただいているビルの会議室や空き家、公共施設の会議室などを活用しています。

 「安心、安全、温もりのある老後をともに生きる」が目標です。この目標を木の幹とすれば、先の「三づくり」は根っこになります。たくさんの枝はサークル活動や事務局活動などにあたります。今、力を入れているのは「終活(終末活動)」です。会員の高齢化に対応していかに人生の最後を生きるかに役立つようにと思っています。弁護士や会計士、司法書士さんらの支援も得ています。

 ぬくもりのある心豊かな老後を送るために私自身も体力が続く限り頑張りたいですね。最初は自分のため、続けるうちに会員のため、人のため、そして社会のためとステップを踏むのが理想です。寂しいなと思っているかた、気軽に声をかけてください。


むらた・ただし
1931年、徳島県生まれ。
55年徳島大学工学部卒後、大阪大学大学院をへて57年島津製作所入社。
退社後89年琉球大学教授などをへて2004年「シーズネット京都」に入会。
14年4月から理事長。84歳。