京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●来た道 行く道
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。 地域と関わり障害者運動日本自立生活センター代表 矢吹 文敏さん
骨形成不全症のため、車いすを使っています。母親がおむつを替えるとき、足を上げると骨折したらしいです。当時は養護学校もなく、小・中学校にもほとんど通っていません。歩けないから学校に行けないと思い込んでいました。でも、家に閉じこもっていたら、対人関係など築けないと思い、地元山形の県立高校の通信制に入りました。そこで知り合った障害者と旅行に行ったのですが、車いすの私は重度なのに、軽度の人がだれも助けてくれない。障害者といっても障害の種別、重・軽度などさまざまです。障害者同士でも理解が乏しいことを感じました。さらに「頑張る障害者しか世の中に出られない」といった風潮です。この疑問が障害者運動の出発点となります。 高校在学中に、私と同じ思いの人が集まるようになりました。生活においての疑問や改善点などを障害者団体に訴えましたが、受け止めてもらえません。それならと、20人ほどで新たな団体をつくり、要望書を出したり、署名活動を行いました。1973年に初めて開かれた車いす市民全国交流集会にも参加しました。その後、2年置きに全国各地で交流集会が開かれました。そこで知り合った日本自立生活センター(京都市南区)を設立した前代表の故長橋栄一さんから、京都に勉強がてら手伝いに来ないかと誘われました。87年からセンターのスタッフとして働き始めました。今から思うと「全く知らない土地によく来たな」と不思議に感じてしまいます。 センターでの活動では、路線バスに車いすで乗降できるリフトバスの運行を働きかけた運動が思い出されます。米国に行き、先進地事情を視察しました。長橋さんらが行った地下鉄駅へのエレベーター設置運動から10年後の91年に京都市バスでリフトバスが走り始めました。また、障害者が入院時につけられなか?た介助者も、京都市に働きかけ、言語障害などの事情によっては可能になりました。 障害者が生活を自立するには地域との関わりが大切になります。社会参加です。地域の団体との交流も積極的に進めています。今後さらに新しい町づくりに加わっていきたいし、私たちにとっての社会貢献とも考えています。4月にはセンターがある地元の春まつりの実行委員長も務めさせていただきました。 やぶき・ふみとし 1944年山形県天童市生まれ。 山形県立山形東高通信制卒業。反貧困ネットワーク京都共同代表、障害者権利条約批准と完全実施をめざす京都実行委員会副実行委員長。2012年から日本自立生活センター代表。
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