ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

PC教室で再び“ 咲こう”


NPO法人「花パソ」

理事長  馬場 次代さん




パソコン操作を教える理事長の馬場次代さん=左(京都市伏見区東町の「花パソ」教室)
 子育てが一段落した女性が、ブランクがあっても「スキルがあれば働ける」との思いからパソコン操作を身に付ける教室を開いています。そして、ここで学んだ女性が、シニア層を対象にしたパソコン教室の講師を務めています。スマートフォン、タブレットなどICT(情報通信技術)がどんどん進化しているので、その技術についていくのが大変です。

 中高校生までは機械類に無関心でした。ところが、高校を卒業して一般事務のOLと思い、運搬機械メーカーに就職したのですが、コンピューター化を進める部署に配属され、大型コンピューターのオペレーターとして2年間勤めました。ここで、今につながるコンピューターの基本を学んだように思います。何事もコツコツとやるタイプだったので、自分に向いていたのでしょう。

 その後、結婚し、2人の息子の子育てが一段落した40歳前に、また働こうと考えました。そのためにパソコン教室に通ったのですが、案外、うまく操作でき、「コンピューターの基本は変わっていない」と感じました。派遣会社に登録して短期派遣で働き始めました。優秀スタッフとして表彰されたこともあります。当時、派遣社員は20代が大半でしたが、ブランクがあった女性でも「スキルがあれば働ける」との思いを強くしました。

 2005年に同世代の女性と2人で「花パソ」を立ち上げました。名称には女性として「もうひと花もふた花も咲かせたい」との思いを込めています。京都市伏見区の民家を借りて、再び働きたい女性、50歳以降のシニア層向けにパソコン教室を開きました。09年にはNPO法人になりました。現在、この教室のほか、NTT西日本の三条ショールーム(中京区)、ひと・まち交流館京都(下京区)の計3カ所で教室・講座を開いています。会員登録は約600人、スタッフ10人で運営しています。

 パソコンを使って「認知症予防講座」を開いたこともあります。高齢者から「こんなことができるようになった」などの声を聞くのがうれしいです。生きがいややりがいにつながれば、と思っています。高齢になっても、新しいことに挑戦しようという姿勢には頭が下がります。スマートフォンやタブレットが普及していますが、高齢者にはまたまだとっつきにくく、「私たちがお役に立てる時代」と感じています。

 昨年4月に「スマホ&タブレット合奏コンクール」を初めて京都市内で開きました。トランペットやピアノなどの楽器ソフトを使って演奏します。全国から12団体約100人が参加しました。14年から始めた交流会・発表会を発展させました。演奏を練習するために情報端末を使うことで操作に慣れていきます。また、仲間づくりや高齢者にとっては合奏練習に出向くなど外出の機会になればと期待しています。今後、コンクールを継続的に開催し、規模を大きくして盛り上げたいです。


ばんば・つぎよ
1950年大阪市都島区生まれ。大阪市立高卒。
2005年、女性2人で、子育てが一段落した女性やシニア層向けのパソコン教室「花パソ」開設。
09年NPO法人化、理事長に就任。京都府精華町在住。