京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●来た道 行く道
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。 電気系技術生かし、力にNPO法人まちづくりねっと・うじ前代表理事上村 正文さん
2度の大病を乗り越え、83歳の今日まで生かされたのは「まだ続けよ」という天の声と受け止め、いまはタブレットを利用した障害者支援ツールなどの活用に取りかかっています。 私は電機会社一筋に勤めた典型的な「会社人間」でした。1993年に京都ボランティア協会(京都市下京区)主催の講座でフィランソロピー(企業の社会貢献活動)の重要性を知ったことで、協会の活動に参加。会社の若手社員らと協会のふれあいバザーなどを手伝い始めた矢先、阪神大震災が起きたのです。 「電話は通じても難聴の被災者に情報が送れない」。手話サークルから私にSOSが届きました。会社内にあった廃棄前のファクスを思い出しすぐに20台ほどを現地へ搬送。「救援情報を届けられた」と、いたく感謝されました。ボランティアでは何が大切かを痛感する出来事でした。 会社員時代から変わらない私の信条は「イエス、バット」です。求められたら、すぐに「できない」と断らない。まず受けて、どうすればできるかを考える。ボランティア活動に当たっては常に、この信条を守ってきました。 自分が暮らす宇治地域でICTを利用した活動に入ったのは2000年ごろです。宇治市運営のサイト「eタウンうじ」や地域SNS「お茶っ人」などが足場でした。ユーザー仲間から「自由に地域貢献できる場を」と声が出て、2008年にNPO法人「まちづくりねっと・うじ」の開設に参加しました。最初にやった事業が、ネットによる「宇治川花火大会」のライブ中継です。「感動した」とオランダ、中国など国内外から計1万3千件の反響がありました。翌年からは老人福祉施設に端末を運び花火中継を見てもらいました。 「まちづくりねっと・うじ」で力を入れている事業の一つに授産製品の販売支援があります。宇治市内9カ所の共同作業所などで作られる製品のカタログを作成。一方で専用サイト「そっとほっと」を開設して、陶器からクッキーまで約100種の製品を紹介しています。現行の授産品工賃は低すぎるので、これを倍増させる提案を京都府にも示し、運動拡大を図っています。 振り返ると私のボランティアは1人では何もしていません。他の人に助けられできた仕事ばかりですが、培ったものは次世代に確実に継承したいですね。 いま、定年退職者のボランティア参加が減っています。「できることを、できる時に、できる分だけ」の「ちょいボラ」で十分なのです。気楽に考え、どうかあなたも仲間に加わってください。 うえむら まさふみ 1933年、京都府生まれ。京都市立洛陽高電気科卒。 竹菱電機(現・株式会社たけびし)入社。同社代表取締役、日本新薬社外監査役などの傍ら、ボランティア活動に従事。京都ボランティア協会副理事長、宇治小校区安全連絡会常任幹事などを歴任。 現在、認定NPO法人芝生スクール京都監事ほか。
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