多くのボランティア活動に携わるようになってから、依頼にすぐに応えられるよう、いつもこの赤い作業着を着ています。おもちゃ病院で修理、高齢者宅で電球交換…と、何をするにも作業着が便利です。街で「赤い服のおっちゃん」と呼ばれるほど、作業着姿が板につきました。
京都市内から久御山町に移り住んで40年。ずっと町の知名度向上が必要と感じていました。最初に取り組んだボランティアは古川の浄化です。城陽市から久御山を経て宇治川に注ぐ古川は当時、タイヤやゴミが大量に捨てられどぶ川の状態でした。
汚れと悪臭がひどく、有志に呼びかけ15年前に「古川を美しくする会」を結成。大型のごみは軽トラックで引き上げるなど、定例作業日を設け清掃を続けました。高校生や地元企業からも応援をいただき、運動が広がったのはうれしかったですね。
会員が約100人になったいま、古川は清流を取り戻しました。魚が戻り水鳥も来ます。水質をさらに高めようと今後、再生炭素繊維を使った浄化試験に取り組むところです。
壊れたまま家庭に放置されたおもちゃを再生させる「久御山おもちゃ病院」は、町社会福祉協議会のシニア講座に参加した7人で9年前に始めました。「使い捨て文化を見直し、修理を共にする子どもに科学の心を養ってもらおう」という趣旨。時間に余裕があるリタイヤ世代の生きがいづくりも兼ねています。
「開院日」は、町の施設で月1回ですが、多い日は約30件の依頼があります。見学に来て仲間に加わる人もいて会員は20人に増えました。東日本大震災の被災地、宮城県石巻市で出張開院したこともあります。
私は若いころ事務系職場で働き、途中から久御山町で義兄が経営する精密板金会社に移り、ガス溶接や穿孔などの技術を習得しました。はんだ付けもできるので、おもちゃ修理は苦になりません。「治療代は、直ったおもちゃを受け取る子どもたちの笑顔」が、仲間の合言葉です。
町社協をベースにした高齢者対象の活動には積極的に参加してきました。見守り活動の「ふくろう隊」はもう10年、暮らしの困り事に応じる「クミトピア(かなえモン)」は4年目。警察から依頼された「声かけ隊」は、始めたばかりです。最近は訪問先の住人が、私より年が若いケースが多くなりました。
これから目ざす活動の一つに、認知症の人が身に付けGPSで居場所を探知できる缶バッジの制作があります。缶バッジはおもちゃ病院のサービス品として自作しているので、組み込むチップの開発を急いでいます。
ボランティアは利害関係なしにできる活動ですから、コミュニケーションの場としても楽しみは無限。100歳まで続けたいと願っています。