ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
パパもLet's子育て  < 2 > 旅路の分岐点

子育てイベントで「パパ友」

 

島本 和範



 妻は長男を出産後、里帰りし義父母の支援をいただきながら、一歩一歩ママスキルを向上させていきました。妊娠前までどちらかというと子ども嫌いだった妻は、全く別人のごとく子ども好きになりました。妻の変化に反し、私の子育てスキルは全く進化しません。オムツ替え、ミルク、ゲップなどなど、子育てに必要なことが全くできない状況でした。こんな私でしたが、スイッチがプチプチっと切り替わっていく出来事がありました。スイッチ@は、京都市中京区の産婦人科での立ち会い出産、スイッチAは、ペンギン?!、スイッチBは、産婦人科でのイベント参加。誰が見ても、各スイッチの関係は不明だと思います。しかし、私にとっては、かけがえのないつながりなのです。

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「院長と話そう」のイベントに出席後、慣れない手つきでわが子を抱っこする島本さん(2006年7月、京都市内)
 スイッチAのペンギンとは、映画「皇帝ペンギン」のDVDを見た衝撃によるものです。コウテイペンギンは、子育てをするために海から遠く離れた繁殖地に移動します。メスは卵を産んだ後、海にエサをとりに出かけます。オスは極寒の中、約2カ月何も食べずに卵を抱き続け、メスの帰りを待ちます。ペンギンですら命懸けで子育てしているのに、自分は父親として何をしているのだろう。そんな気持ちにかられました。

 最後のスイッチBは、私のパパ子育ての原点とも言うべき出来事。それは、長男が8カ月になった2006年7月、妻がお世話になった産婦人科の院長先生と話そうというイベントに参加した時のことでした。イベントで院長先生のお話を聞いた後、参加していた家族にマイクが回ってきて、妊娠・出産・子育てに関する体験を話すことになりました。妻が妊娠・出産・産婦人科のスタッフの皆さんへの感謝の話などをした後、ペンギンに感化されていた私はこう言いました。「父親も何かできないかなと思います。月に1回でも3カ月に1回でも父親が集まる機会があればいいなと思います」

 産婦人科の院長先生も前々からお父さんたちを引っ張り出してみようと思われていたようで、私の意見を大歓迎してくださいました。

 それから約2カ月後の06年9月、男子禁制だった子育て支援センターで、初のママ禁制のパパ&子ども向けイベントが開催されました。パパと子どもが16組参加しました。私はママがいなくて泣きだしたらどうしようというドキドキ感ばかりがつのりました。パパが自己紹介をしたり、みんなで子守歌を歌ったりしました。当然男性の声ばかりだから建物の中に低〜い歌声が鳴り響いていました。このパパ&子ども向けイベントを通して知り合ったパパたちは、私にとってかけがえのない同志になりました。妻の「ママ友」ならぬ、念願の「パパ友」ですね。パパ友とのつながりは、会うごとに次第に強くなっていきました。


写真 しまもと・かずのり

1976年京都市生まれ。
26歳で結婚、小3男子・年中女子の2児の父、妻もフルタイムで勤務。
仕事は、京都市左京区の精密機器メーカーのシステムエンジニア。多忙な毎日を送る中、パパ子育ての楽しさを感じながら日々生活している。