ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

アイバンク
不足の献眼へ協力を



 「アイバンク」とは、献眼者(ドナー)の意思と、移植を待っておられる方(レシピエント)の間に立って「橋渡しをする施設」です。厚生労働大臣の許可を得て、「眼球あっせん」が出来る唯一の公的機関であり、全国に54カ所存在します。


京都府立医大アイバンク眼球提供者カード
 献眼とは、角膜移植などの移植医療を待っている方々のために、「亡くなられた本人と家族の同意のもと眼球を提供すること」です。また、提供していただいた眼球は、角膜だけでなく、その他の部分も手術の種類によって使用されます。

 眼球は他の臓器・組織提供と異なり、年齢制限が無く、悪性腫瘍(血液性の腫瘍を除く)でも提供できる唯一の臓器であるため、提供に対する意思を最も尊重しやすい臓器です。また、近視・遠視・乱視・老眼・色覚異常の方や、白内障・緑内障など眼の手術を受けられた方でも提供可能です。しかし、安全の担保のために国が定めたドナー適応基準として、禁忌事項も存在します。

 眼球提供の登録について、近隣のアイバンクへ連絡していただくと、登録可能です。その他の提供に対する意思表示として、免許証や保険証の裏、臓器提供意思表示カードへの記載があります。しかし、提供に際しては、必ず最終的な提供意思を確認することになっています。

 アイバンクの全国的な現状として、ドナー数が約900人に対して、レシピエント数は、2200人以上という状況がここ数年続いています。ドナー数は依然として圧倒的に不足しています。目の病気には、黒目の部分(角膜)に濁りや変形をきたし、新しい角膜と手術で取り換えるしか視力を回復できない方が多くおられます。手術を受けることができるようになるためには、皆様の協力が必要不可欠です。

 京都府立医大アイバンクでは、「アイバンク」を知っていただくために、府民講座での講義や関連病院の協力を得て、積極的に啓発活動を行っています。その他にも、近隣アイバンクとの連携に力を入れています。安心して移植を受けていただけるように、より質の高い保存眼球の管理、献眼時の対応、提供いただいた家族の心のケアや、強膜のあっせん事業などへ事業充実を図っています。

 一人でも多くの方が光を取り戻され、愛の光に満ちた生活を送られるよう努力していく所存です。アイバンクについて興味を持っていただけましたら、気軽に問い合わせ下さい。

(京都府立医大アイバンク)