ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

成年後見制度
本人を法律的に保護



 認知症などで判断能力が十分でない高齢者や障害のある方たちに、必要のない契約を結ばせる悪質な事業者による消費者被害が後を絶ちません。成年後見制度は、このような方に代わって、財産を管理したり、契約を結ぶことができる援助者を選び、本人を法律的に保護する制度です。


 成年後見制度は、大きく「法定後見制度」と「任意後見制度」の二つに分かれます。まず、法定後見制度は、家庭裁判所が、本人の判断能力の程度に応じて、「成年後見」「保佐」「補助」のいずれの類型に該当するのかを決定した上で、本人を支援する「成年後見人」「保佐人」「補助人」(以下、「後見人」といいます)を選任します。選任された後見人は、本人のために必要な契約の締結を行ったり、後見人の同意を得ずに行った契約を取り消したりする権限を用いて、本人を支援・保護します。後見人には、親・子・兄弟姉妹などの親族に加えて、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職、社会福祉法人・NPO法人などの法人、自治体が養成した市民後見人などが選任されます。制度の利用に当たっては、申立手続きや後見人に対する報酬など、一定の費用が必要となりますが、自治体が定める要件を満たせば、助成を受けることも可能です。

 次に、任意後見制度は、十分な判断能力を有しているうちに、自身が認知症になるなど、将来の判断能力低下に備えて、あらかじめ自らが選んだ任意後見人に、財産管理や療養、介護に関する契約の代理権を与える契約を結んでおくというものです。

 京都市では、増え続ける成年後見制度ニーズに対応するため京都市成年後見支援センター=TEL 075(354)8815=を設置し、市民を対象に成年後見制度の普及・啓発、利用相談、市民後見人の養成などに取り組んでいます。そのほか、家庭裁判所や地域包括支援センターなどでも成年後見制度についての情報が得られますので、必要に応じて問い合わせてください。(京都市成年後見支援センター)