ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

京都府家庭支援総合センター
悩みにワンストップで



 近年、少子化・高齢化が進む一方、私たちの生活はずいぶん便利になり、スマートフォンや会員制交流サイト(SNS)の普及も相まって人と人の関係や、地域社会のつながりが大きく変化しています。このような中で児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)など、家庭内での問題が大きく社会的にクローズアップされ、マスコミに悲しい事件が取り上げられることも頻繁にあります。


 これまでは法制度ごとに縦割りで、子どもの問題については児童相談所、女性の問題については婦人相談所というようにバラバラに相談機関が設置されていましたが、このような問題は一つの家庭で複合して起こる事も多いことから、府民の方々の抱える家庭内の問題についてワンストップで相談を受ける機関として平成22年に京都府家庭支援総合センターが設置されました。

 今年の春で開設から丸5年が経過しましたが、センターに寄せられる相談は年々深刻さを増しており、最近では特に世相を反映した相談が目に付くところです。例えば、子どもの関係では、SNSでの交友関係をきっかけにした非行問題や養育経験の未熟な保護者による虐待案件が深刻です。特に乳幼児の場合は、骨折や大きなけがを伴うような身体的虐待、あるいは十分に食事が与えられていないネグレクトなどは生命の危機にも直結しますので、職員は日々入ってくる相談や関係機関からの情報について、対応に漏れがないよう細心の注意を払うとともに、迅速な対応を心がけているところです。

 また、女性からの相談では一時話題になったモラルハラスメントなども当事者にとっては心が大きく傷つけられる深刻な案件であり、相談員は丁寧に相談者の心に寄り添い、悩みごと、心配ごとを聞き出し、安心安全な生活が送れるよう支援しています。

 その他にも補装具や自立支援医療の相談、療育手帳の判定などもセンターの重要な業務ですし、ひきこもりや非行少年の立ち直り支援、児童養護施設退所児童のアフターケア、家庭的な環境で子ども達を育てるための里親の推進など大切な役割を担っているところです。

 京都府家庭支援総合センターには専門の知識や経験を持った相談員が休日や夜間も相談電話を受けておりますので、ご自身の悩みや、ご近所の子どもの事で気になることなどがあれば、ためらわず一度相談していただきたいと思っています。

(京都府家庭支援総合センター所長 青木賀代子)