ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

グループホーム

地域で生活、治療にも



 グループホームは北欧で誕生した。病気や障害があるため、日常生活に困難を抱えている人が介護の専門スタッフらの援助を受けながら、一般の住宅で少人数で共同生活を営む社会的介護の形態である。ケアホームとも言われ、住み慣れた地域社会に溶け込み、入居者の主体性を尊重した生活となることを理想としている。


スタッフが寄り添いおやつづくりに挑戦
 日本では2000年に始まった介護保険制度上の認知症のある人のグループホームが全国に急増している。介護認定の要支援2〜要介護5に認定された人で、住民票が事業所のある市町村にあることが入居の条件である。

 住宅は、一人ひとりの居室に共有スペースとしてキッチン、食堂、リビング、浴室、トイレなどを設えている。5〜9人の認知症のある人と専門スタッフがいっしょに、調理などの家事、園芸、日曜大工などを楽しみ、買い物や小旅行にも出かけている。人と人との関係性の中にある存在や、社会とつながる精神活動が生活リハビリ≠ネり治療的効果をあげている。

 専門のスタッフは、障害のある人の持てる力を、役割や出番につなげ、活気ある生活空間になるようサポートしている。症状が進んでも認知症のある人の「対等な人」として人と交わりたい、社会の一員として役割を持ち続けたいという思いや、ここで最期を迎えたいと願う人の終焉過程に応えている。「家」の機能を持つグループホームでは、外部の医師による訪問診療や、薬剤師、看護師、理学療法士、歯科衛生士等の訪問による関わりがある。「地域向けの相談支援」「共用型デイサービス」などの制度を使い地域の認知症がある人や家族らも支援している。質の高いケアには、生活の場の環境整備と地域の介護力が欠かせない。

 障害のある人が住みよい地域は私たち誰もが住みよい地域でもある.障害があっても心配のない地域を市民の皆さんとつくっていきたい。

(NPO法人京都府認知症グループホーム協議会 出野平恵理事長)