ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

京都府がん総合相談支援センター

悩み、不安受け止める



 日本人の2人に1人がかかるといわれるがん。京都府では平成23年に約2万人が、がんと診断されました。治療や生活、周囲との関係などがんに関する疑問、悩みはさまざまです。


がんに関する面談を受けるために来訪した際の個別の相談室
 ご自身や家族、またはお知り合いなど、がんと診断された方々が抱える問題について、ワンストップで相談を受ける機関として京都府がん総合相談支援センターがあります。

 「がんが再発した。抗がん剤治療を行う予定だが、効かなかった時のために、治療を受ける前にいろいろ考えておきたい」がん患者さんからの電話です。さらにお話をうかがうと、「自分が先だったら残される家族が心配」とも言われました。そこで相談員は、その方のご家族への思いを受けとめるとともに、がん患者さん自身が、自分らしい生活を続けるためには、抗がん剤と並行して、緩和ケアや在宅医療を受けるという選択肢もあることを紹介しました。

 相談員は、最初の質問に対する情報提供だけに終わるのではなく、質問の奥に他にも聞きたい、伝えたいと思われていることはないかをキャッチするよう心がけています。

 「がん検診で要精密検査と通知がきたがどうしたらよいか」「気になる症状がある。がんかもしれない」

 悩まれている方にはその理由をお聞きし、受診について説明しながら、次の適切な行動につながるよう対応しています。

 検査中の方からの「次回検査結果の説明があるが、がんの可能性が高いと言われており、今後のことが心配」という相談には、不安な思いに耳を傾けながらも、主治医への確認事項を整理し、質問の仕方を一緒に考えていきます。

 治療中の方からは「今の治療でいいのか。セカンドオピニオンを受けたい」「医療者とうまくコミュニケーションがとれない」「治療のつらさを家族には話せない。聞いてほしい」という相談があります。

 がんに関する相談は、試験のように答えがあるものばかりではありません。泣きながら面談に来られる方、電話の向こうで声をつまらせる方もおられます。

 センターでは、看護職の他にがん経験者が勤務しており、それぞれの立場から、相談者の悩みや不安な思いをしっかり受け止め、解決方法を一緒に考え、相談前より少しでも、気持ちが落ち着いていただけるよう心がけています。

 がんについて、気になることがあればお気軽に相談ください。フリーダイヤル(0120)078394(午前9時〜正午、午後1時〜4時)。

京都府がん総合相談支援センター長 吉田万里子)