ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

心の壁払い雇用促進

精神障害者の社会参加



 ストレス社会とも呼ばれる現代では、うつや不安などさまざまな精神科的問題が生じています。精神疾患の患者数はうつ病や認知症を中心に、近年大幅に増加しており、現在40人に1人が精神疾患といわれています。


 ここで、例えば、あなたの身近な人から、「実は私、精神障害者なんです」と打ち明けられたとしたらどう感じますか? もしかしたらあなたは心の中で少し距離を置こうとするかもしれません。それは決して不自然な感情ではありません。精神保健福祉が発展してきた今日でも、精神疾患および精神障害者に対する偏見や差別はまだまだ改善されたとは言い難いのが実情だからです。しかし、明日はわが身とまでは言いませんが、精神疾患は誰しもがなり得る病気です。それは、同じ環境・状況にあっても、Aさんにとってはその環境がとてもストレスに感じるけれど、Bさんにとっては居心地いいものかもしれません。でも別の環境ではAさんとBさんの気持ちが逆転するかもしれないからです。

 こうした理解のうえで、みんなが積極的に精神障害者の社会参加に協力する「こころのバリアフリー」を実現していくことが大切です。精神障害者の社会参加の重要な課題の一つとして、精神障害者の雇用の促進が挙げられます。

 平成30年4月より精神障害者の雇用が義務化されることとなりましたが、私ども京都府精神保健福祉総合センターでも従来、デイケアにおける就業生活セミナープログラムや精神障害者社会適応訓練事業(協力事業所は約100)を通じて精神障害者の社会参加をすすめてまいりました。精神障害者の社会参加をすすめていくために、今後も理解ある協力事業所(職親)の登録を求めています。さらに、昨年度からは就労支援アドバイザーを配置して、京都ジョブパークと連携しながら精神障害者就労支援に力を入れております。一般企業を対象に、精神障害に関する普及・啓発や精神障害者の特性や接し方についてのセミナーなどを開催しております。

 また、当所において「こころの健康セミナー」を開催して、依存症(アルコール・薬物、ギャンブル等)や摂食障害などに関する正しい知識の提供と自助グループや回復施設の紹介をしております。その他、個別の精神保健相談も行っておりますので、詳しくは当所ホームページをご覧のうえ、ぜひお気軽にご相談、ご参加ください。

(京都府精神保健福祉総合センター所長 土田英人)