ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

京都若者サポートステーション

ニート就労へ相談・体験



 若者サポートステーション(通称サポステ)は、ニート(若年無業者)状態の若者への就労支援を行っています。サポステは厚生労働省の受託を受け全国160カ所にあります。そこでは個別の相談、就労体験、各種セミナーなどを行っています。


 さて、このニート状態の若者というとどのような想像をするでしょうか。

 怠けているとか、我慢が足りないなどのネガティブなイメージをもたれるのではないでしょうか。実際にサポステでかかわっていると、そのような人は多くありません。逆に、非常に真面目で、何事にも一生懸命捉える、言われたことをちゃんとやる、といったイメージです。いろいろなしんどいことに我慢強く耐えてきた結果、深く傷つき、そのために次の一歩が踏み出せなくなっています。そして、その事も人のせいにせず、自分の問題として抱え込んでいます。そのため、自信を喪失し、「働くのは無理だ」という結論に達しています。

 このように自尊心が低下している状態では、「あなたは良い所がいっぱいあるよ、自信を持ちなさい」と言っても伝わりません。

 サポステではそのような若者に対して、就労体験や就労に関するプログラムに参加してもらっています。ここで重要なのは、“ できたこと” の抽出です。プログラム参加後の振り返りで“ 良くできた” などの主観的な評価は、自尊心の低い人には「自分的には良くできたとは思えません」などと考えてしまい、まったく響きません。そこで重要なのは、何ができたか、どのくらいできたか、どう良かったのかといった、客観的な評価です。例えばある若者が農業の就労体験に参加した時に、“ 毎回遅刻せずに最初の1カ月は休まず参加する” という目標を立てました。このような具体的な目標であれば、自尊心が低くても、できたかどうかは評価できます。具体的目標と評価はどのような心の状態であってもぶれません。もしできなくても。“ ではどうすればいいか” ということを考え、次の目標になります。このような“ できたこと“ の積み重ねによって、徐々に“ 自分はできることがある“ という自信につながっていきます。自信を見いだせれば、自然と働く方向に向いていきます。

 ニート状態の若者たちは、真面目がゆえに自分に厳しく、自分を認めないから自信がうまれず、一歩踏み出せない。そんな流れを少しでも変えることができればとサポステでは支援を行っています。

(京都若者サポートステーション総括コーディネーター松山廉)