ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

若年性認知症本人交流会

同じ境遇、安らぐ場に



 高齢化の進行とともに「高齢者の約4人に1人が認知症の人またはその予備軍」と言われる現在、本人や家族が認知症の事を気軽に語り合える場として「認知症カフェ・サロン」の取り組みが全国的に広がっています。京都市内では、各区社会福祉協議会や地域包括支援センター、福祉施設、地域の団体やグループなどが中心となり「認知症カフェ・サロン」を28カ所で運営しています。(昨年12月京都市長寿すこやかセンター調べ)


サロンで談笑するボランティアと参加者
 京都市社会福祉協議会では、運営委託を受ける長寿すこやかセンター(以下、センター)で、昨年5月から若年性認知症の方を対象に本人交流会を毎月1回(原則第4水曜)開催しています。同じ立場にある本人や家族が集って、茶話会・体操・季節の行事などに取り組んでいるほか、専門職の相談を受けることもできます。

 65歳未満で発症する若年性認知症は、本人や家族にとって受け入れが容易でなく、就労している場合は家族全員の生活に多大な影響を与えます。

 若年性認知症の方の本人交流会「おれんじサロンひと・まち」(以下、サロン)には、毎回6人〜10人程度の本人と家族が訪れ、ボランティアや専門職のスタッフと落ち着いたひとときを過ごします。本人の平均年齢は65歳と若く、ペアのボランティアとお話をするだけではなく、サロンで仲良くなった本人同士が助け合ってお茶を入れたり、一緒にプログラムに参加したりする姿が見られます。

 サロンに参加したきっかけについて、ある当事者は「認知症という告知を受けて仕事をやめてから何をすべきなのか、何をしたいのか見いだせない日々が続きました。毎日、困惑していた私を見て、妻が『サロンに行こう』と誘ってくれました。今では毎月参加が楽しみになっています」と話し、家族は「介護保険サービスもありますが、他の利用者の方の年齢層が高く抵抗感がありました。一緒にサロンに来ることができる間は利用を続けたい」と話しています。

 センターではサロンの運営以外にも、介護者家族の交流会を開催するほか、認知症相談・介護相談・成年後見相談にも応じていますので、若年性認知症に限らず相談をお寄せください。TEL 075(354)8741(月〜土曜=午前9時〜午後9時30分、日曜・祝日=午前9時〜午後5時)。

(社会福祉法人京都市社会福祉協議会・京都市長寿すこやかセンター長 東清和)