ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

統合失調症

経過に個人差、焦らずに



 今回は統合失調症について考えてみました。平成26年の厚生労働省の調査によれば、統合失調症で治療を受けている人は80万人弱で、虚血性心疾患とほぼ同数、胃潰瘍など2倍となっていて、比較的頻度の高い病気です。



Q 統合失調症はどんな病気ですか?

A およそ100人に1人くらいがかかると言われています。10代後半から30代にかけて発症することが多く、原因はまだ明らかではありませんが、過剰なストレスにより、脳の働きの一部が不調になるためと考えられています。進学や就職など人生の転機におけるストレスが、発症のきっかけになることが多いようです。性格や育て方によるものではありませんので、責めたり後悔したりしないでください。

Q どんな症状がありますか?

A 症状にはさまざまなものがありますが、代表的なものとして、その場にいない人の声が聞こえてくる(幻聴)、事実にないことを考える(妄想)、何もやる気が起こらない(意欲低下)、ものごとに興味がわかなくなる(無関心)などがあります。この他にも、考えがまとまらない、部屋に閉じこもる、身だしなみにも構わなくなるなどの症状がみられることがあります。

Q 治療はどうするのですか?

A 現在では、外来治療、早期治療が重視されるようになりました。薬物療法、精神療法、リハビリテーションが基本になります。まず大切なことは、薬(抗精神病薬)をのんで、睡眠や休息を十分にとることです。精神療法は、医師との対話を通して信頼関係を築き、病状の変化や家庭生活・社会生活について話し合っていきます。リハビリテーションは、デイケア、作業療法、就労準備、心理教育などさまざまなプログラムがあり、一人一人に応じた計画を立てて回復に取り組み、社会参加をめざします。

Q どのような経過ですか?

A 前兆期、急性期、休息期、回復期を経て安定期に向かうと考えられますが、症状の程度や経過には個人差があります。主な経過を表にまとめましたので、参考にしてください。

Q 相談はどこでできますか?

A 慢性に経過することが多い病気です。短期間では回復しないため、不安になることもあります。また、症状を抱えて生活していく時は、就労や日常生活における支援が必要になることもあります。そんなときは、主治医や看護師、精神科ソーシャルワーカーなどに相談してください。市町村の窓口、保健所、保健センター(精神保健福祉センター)、障害者職業センターなどで相談することもできます。個人情報は固く守られますので安心してご相談ください。

(京都府立洛南病院院長 山下俊幸)